怠惰に創作

細々と小説の様なものを創作しています。設定など思い付いたように変更しますので、ご容赦ください。

異星大戦記1

宇宙歴197年8月26日、第4惑星ゲーディア皇国は第3惑星エレメスト統一連合に対し宣戦布告。両国は武力衝突へと至った。

誰もが数で勝るエレメスト統一連合軍の勝利を予測するも、その予測は覆される事となる。

ゲーディア皇国軍は、新兵器である人型機動兵器「ア・クー」を戦線に投入して数で勝る統一連合軍を圧倒、宇宙での統一連合軍の拠点を制圧していく。

宇宙での戦闘を優位に進めた皇国軍は、その矛先を第3惑星エレメストへと向け、地上への降下侵攻を開始する。宇宙と同じくア・クーの活躍で瞬く間に地上の三分の一を占領した皇国軍であったが、広がりすぎた戦線を維持することが困難となって戦局は膠着状態へと陥り、そのまま1年の歳月が流れたのであった‥‥‥。

 

「おい、端末見ながら何をブツブツ言ってるんだ?」

「えっ⁉ あ~‥‥‥え~と~‥‥‥ナレーションです」

「はぁ⁉」

「いや、何でもないこっちの話し」

「まあいい、休憩は終わりだ。練習に戻るぞ」

「ええ~、もうちょっと休ませてよ~」

「さっきもそう言ってただろうが! ほら、立て」

「はいはい」

「ハイは1回でいい!」

 

俺は立ち上がって渋々トレーニングに戻ることにした。

よ、久しぶり、おら悟‥‥‥ネオだ。今俺はナイザ博士とリッチ博士、そして姉貴のラムザの4人で戦乱激しいエレメストからとある研究所に移り住んでいる。

聞いて驚け、その研究所とは俺とラムザが生まれたノゲム・ジ・オームズ博士の元極秘研究所だ。そう、異星転生して訳も分からずなすがままに脱出したあの研究所だ。

あの研究所って爆破されたのでは? と思うかもし得ないが、これが何としぶとく残ってたんだな。勿論、爆破で内部は滅茶苦茶だったのを統一連合軍が新しく作り直したんだよ。まさかここに戻ってくるとは夢にも思わなかったぜ。ま、此処に居たのはせいぜい1、2時間程度だったから何の懐かしさも思い入れも何も感じなかったけどな。

でだ、なぜ俺たちが此処に居るかというと、それはゲーディア皇国軍に対抗するための切り札として俺たちが必要になったってことだ。要は強化兵士である俺たちを強力な兵士に育て上げようってわけだ。

本来、この計画で強化兵士を大量に作り出す予定だったんだろうけど、肝心のマットサイエンティストに裏切られてお釈迦になった。だけど俺たちはいる。だから俺たちを文字通り兵士として訓練して、戦場に送り出そうというおっとろしい考えだ。ま、計画自体は無くなっても、僅かでも強化兵士が居るのなら使わない手はないって事だろうな。

統一連合の庇護の下、何不住なく暮らしていた俺たちには当然拒否権は無いって事だ。3年間はとても平和に暮らせてたのに、やっぱり異世界に飛ばされるってそういうことなんだろうな‥‥‥。

俺がエレメストからこの基地に来て彼是3か月が経つんだけど、兵士になるため様々な軍事教練を受けている。筋トレなんかの体力向上や素手やナイフなどの武器で闘う近接格闘訓練や、拳銃や自動小銃などの小火器の射撃訓練や銃器等の整備などがある。他にも爆破や斥候や応急処置とか様々な軍事教練を一通り受けている。昔の俺だったら頭がこんがらがってただろうけど、今の俺は強化兵士だから1か月もすると教官から教わる事は無くなってしまった。自分の才能が恐ろしいぜ!

と言う訳で、今はラムザとワンツーマンで近接戦闘訓練をしている。美人なお姉さんとトレーニングなんって羨ましいと思うだろうがとんでもない。ラムザは鬼だな鬼! 全く手を抜かないんだ。特に素手での格闘訓練は週1でスパーリングしてるんだけど、今まで勝ったためしがない。顎を打ち抜かれて失神KO、レバーブローで悶絶KO、少しは可愛い弟のために手加減くらいしてくれても罰は当たらないと思うんだけどよ。如何思うよ‥‥‥。

それにしても同じ強化兵士の筈なのに何故勝てないんだ? 格闘技だけじゃない、その他にもナイフや鈍器(スコップとか)での戦闘術や射撃なんかもラムザには勝ったためしがない。流石に自信無くすよ本当に‥‥‥。

やっぱり5歳老けてるからか?

一度本人の前でこれを言ったら口を引き裂かれそうになったけ。その時に「見た目は5歳年上でも、起きたのは一緒だろうが!」って怒られたな。って言っても見た目、体格的にはほぼ同じなんだけどな。身長がホンの1、2㎝ほどラムザが高くて、体重が僅かに俺の方が重いってだけだ。

とはいえ、確かに目覚めたのはほぼ同時なんだよ。あの研究所で俺たちが入っていたカプセル内を満たしていた特殊な溶液、あの液体の影響で俺たちの身体は通常より成長が早いんだ。1年で大体5歳位に身体が成長して、3年、要するに15歳になったらカプセルから出して色々と学習させるんだ。一度カプセルから出ると成長スピードは普通の人間と同じになる。なんだけど、俺は通常よりも早く2年目でナイザ博士にカプセルから出された。それに比べてラムザは通常通り3年目で出たんだ。正確には予定より2ヶ月ほど早く出る事になったらしいんだけどな。ま、変わんないよな。それにしてもこういった荒事は身体的に男の方が得意だと思うんだが‥‥‥強化兵士は男女平等なのか?

でもよ、流石に負けっぱなしじゃあないんだよ。俺でもラムザに勝てるものがある。それがシミュレーターだ。何のシミュレーターかと言うと、勿論ソルジャーの戦闘シミュレーターだ。やはり昔取った杵柄って奴? これに関しては俺の方が一枚も二枚も上手だったわけだ。操縦席は本格的で、あのゲームよりもリアルだ。それに統一連合軍が俺たちに求めているのはパイロット能力なんだ。

実はこの基地にゲーディア皇国からある人物が亡命して来ている。その人物は皇国でのソルジャー開発の第一人者と言われてる大物で、名前を「ガートン・ボーロック」博士と言って、今は統一連合軍でソルジャー開発の中心人物となっている。まだ直接会った事はないんだが、その博士が俺たちのために最強のソルジャーを設計したって訳だ。今は最終調整に入っていて、明日には乗れるって聞かされている。明日が楽しみだぜ。この戦争が始まって以来待ちに待った日だからな‥‥‥。

話を戻すと、俺がこの異星に来てエレメストで生活する様になって3年程経って、平和だったこの世界に戦争が起こった。ま、火種は燻っていたけど、本当にゲーディア皇国が戦争をおっぱじめたんだ。周囲の人々は統一連合軍の勝利を疑っていなかったみたいだけど俺は疑ってたな。なんせあのアニメと同じ展開だったからな。案の定、皇国軍は快進撃を続けそのままエレメストにも攻め込んできた。その時に活躍したのがア・クーって名前のモビ‥‥‥ソルジャー(MAS)っていう人型機動兵器だったんだ。もうあのアニメそのまんまって感じだったな。

あの頃の俺は不謹慎ながら戦争の開始から興奮しっぱなしだった。先にも言った通り皇国軍は人型機動兵器を使ってたからだ。だから俺はそのソルジャーに乗って戦いたいと思った。ゲームとは違う、これは現実でゲームオーバーは死に直結すると、コンテニューは無いってわかってはいるんだけど、それでも乗って操縦したいって思ったんだ。

地球でも戦争があって、兵士同士がドンパチやって、戦車や戦闘機が戦って多くの人々が死んでいる。俺は戦争ゲームはしても戦争自体は御免被りたい。でも、人型機動兵器は別だ。アレに乗って戦ってみたいと心の底から思うんだ。ロボット兵器は男のロマンだと思うんだ。地球じゃあアニメのロボットとかを再現しようとしているけど、実現するか如何か分からない。実際には無理とか兵器として需要がないとか言われてるみたいだけど、こっちじゃもう実現してるんだ。だから如何にも心がそれを欲してしまう。ヴァーチャルじゃなく現実の人型機動兵器に乗ってみたいってね。例え不謹慎と取られても乗ってみたい! 操縦して戦いたいって思うのが男心ってもんだろ?

ただ現実ってのは残酷だ。結局機動兵器の乗れるのは軍人で、しかも統一連合軍には機動兵器がないんだ。一応パワードスーツっていう3、4mくらいの人型兵器はあるみたいだけど、それじゃあ物足りないよな。もし仮に統一連合軍もソルジャーを作ったとしても、俺は中坊で、軍人になるにはあと数年はかかるだろう。結構絶望的だよな。この戦争が1年で終わる(既に1年以上たってるけど‥‥‥)かどうかわからんけど、どのみち俺がソルジャーのパイロットになる頃には戦争は終わっているだろう。そう思うと少し残念な気持ちになってしまう。パイロットになっても戦争が無いんじゃねぇ‥‥‥こればっかりは如何しようもないってわかってるんだけど、でも乗りたい!

「あーあ、どっかに統一連合の作った新型ソルジャーが転がってないかな~。マニュアル片手に操縦しちゃうよ」

なんて思ってたら、統一連合軍が強化兵士である俺とラムザを開発中のソルジャーのパイロットに選んだってわけだ。先も言った通り基地にはコスト度外視した専用のソルジャーも製造してくれてる。アニメと展開は違うが、俺専用の人型機動兵器が開発されるってのは結構興奮する話だよな。だから俺たちは今この基地に来てるんだ。

で、なんで一度爆破したこの基地を直してまでここでソルジャーの開発を? って思うよな。しかもこの基地は宇宙航路から外れたとこにあって、ラグランジュポイントにあるわけじゃないんだ。だから重力の影響とか何やらで宇宙空間を彷徨っている。彷徨ってるって聞くと大丈夫なか? と不安になるけど大丈夫だ。基地にはブースターが装備されているからある程度は場所がずれても元の地点に戻る事は出来る‥‥‥そうだ。でもやっぱり不安だ‥‥‥。

では何故統一連合軍はこんな処にソルジャーの開発基地を作ったかと言うと、無論皇国軍からソルジャー開発計画を隠すためだ。皇国軍が知ったら妨害やデータを盗まれるかもしれないからな、そうならないためにこんな辺鄙な処に基地を置いてるって訳だ。

あと、統一連合内でもこの計画の事を知っているのは、宇宙軍省の上層部と一部の政府高官位しかいないらしい。それ位極秘扱いなんだ。抑々統一連合軍のソルジャー開発計画である「W作戦」は、初戦でア・クーに圧倒された宇宙軍がソルジャーの必要性を痛感したのが始まりだったらしい。だけどそれは宇宙軍だけであって、地上軍はア・クーについて余り脅威には感じていなかったそうだ。だから開発には難色を示し、予算の無駄とまで言ったそうだ(無駄とは何だ無駄とは!)。そのためソルジャー開発は宇宙軍の独断で始める事になったてわけ。

初戦の敗北と主戦場が地上になった事もあって、噂では今現在宇宙軍の予算は削減されて地上軍へ流れ込んでるそうで、新兵器開発は予算面で中々苦労したそうなんだ。それでも何とか開発にまで漕ぎ着けたって訳で、俺は心から宇宙軍の兵器開発部の皆さんに感謝の意を称したい。ご苦労さまです。

それもこれもボーロック博士が亡命したから出来たともいえる。ま、ソルジャーと一緒にするのはアレなんだが、統一連合軍にもパワードスーツと言う人型の兵器がある。だからノウハウがないわけじゃない。鹵獲したア・クーを徹底的に研究しただろうしな。そしてつい1か月前に統一連合軍初のソルジャー「ウォリア」が完成したんだ。

ウォリアは武装を変えることで様々な用途に使える万能ソルジャーで、基本武装ビームライフルとソルジャー用のダガーを装備した「ガン・ウォリア」、両肩にキャノン砲を装備した「キャノン・ウォリア」なんかがある。他にもゴテゴテの実弾兵器で武装した要塞強襲用の「アタック・ウォリア」、狙撃用ビームライフルを装備した「スナイパー・ウォリア」、指揮官用の「コマンダー・ウォリア」とかもあるんだ。機体の基本スペックも皇国軍の主力であるア・クーを超える性能を示していて、あとはこのウォリアが量産すれば統一連合の勝利は間違いない‥‥‥筈である。だからその計画を皇国から隠すために一度爆破したこの基地をソルジャー開発の拠点として作り直したんだ。

実際、統一連合軍はソルジャーのない不利な状況を、鹵獲したア・クーを使って対抗している。特に地上では皇国軍の占領地域内で、鹵獲したア・クーを使っての破壊工作も行われていて、一定の成果も挙げているそうなんだ。だから今なら地上軍でもソルジャーの必要性は高まってると思う。

ただし、この基地は基地としてはかなり小さい部類に入り、場所が場所だけに補給もままならず、って状況だ。だから機体の生産に必要な物資が余りないため生産された機体数も極少数に留まっている。そのためこの基地を守備している機体の多くは未だに鹵獲したア・クーなんだ。抑々この基地にある戦力は可なり少ない。戦闘艦は巡洋艦が3隻と駆逐艦6隻、先ほど言った鹵獲ア・クーが7機、そんで新型のウォリアが4機(ガン2機、キャノン2機)で、俺たちが乗る予定の2機の新型を合わせても、ソルジャーはたったの13機しかないんだ。あと輸送船が何隻かあるが、戦闘には役立たない。なんとも心もとない戦力であるが場所のお陰で皇国軍が攻めてくる事は無い。と思うんだけど、万が一と言う事もありうる。もし見つかって攻められたらひとたまりもないだろうな。

だがもうすぐそれも終わりを迎える。ウォリアと俺たちが乗る機体である「ウィルザ・ヴァンガード」が完成した事で、宇宙軍が俺たちを迎えるべく新造戦艦をこちらに向かわせて来るそうなのだ。俺たちはそれに乗って統一連合軍の宇宙での唯一の拠点であるラクシャス要塞へ行くことになっている。あとはウィルザ・ヴァンガードを駆って戦場で暴れてやるぜ! と威勢のいい事を言ってはいるが、迎えがいつ来るかは未定なんだよな。それまでに機体に慣れる必要がある。一応、明日には機体の最終調整が終わるって聞いてるから、明日遂に俺もソルジャーデビューが出来るって訳だ。だから、こんな何の役にも立たない格闘技のトレーニングなんかやってられないんだよな~。これ言うとまたラムザに怒られるから言わないけど、多分ラムザは俺にシミュレーターで勝てないから他でマウントとってきてるんだよきっと、本当に大人げない姉貴だと思うよ。

 

「何時までボーっとしてるんだ! 気合い入れて練習しろ!」

「あ、ハイハイ、分かってますよ~」

「ハイは1回でいい!」

「ハーイ」

 

全く勘弁してほしいぜ‥‥‥とは言うものの、正直格闘技のトレーニングは何だかんだ言って嬉しくもある。なんたってただで女性の身体に組み付けるんだからな。

イヤ、まぁ‥‥‥勿論それが目的じゃないぞ! でもね、俺男の子だからやっぱり女性の神秘には触れたいわけよ。遺伝子操作されて最良の人間として生まれているだけあって、ラムザは完璧に近い外見をしている。髪は黒髪(黒髪好きには最高!)で、当然目鼻立ちも整っていて(アジア系美女が好きな人には最高!)、スタイルも変に強調されてはいなくて、全体的に程よくバランスが取れているんだよ。これが俗にいう黄金比って奴なのかもしれない。しかも、強化兵士って事で全体的に身体は引き締まって筋肉質だけど、当然ムキムキって訳でもない、とっても健康的で最高なボディなんだ!

お、俺、気持ち悪いかな‥‥‥ま、まぁ、気持ち悪いかは置いといて、そんなパーフェクトボディ美女に組み付いて密着するなんて地球にいた頃には想像も出来なかった。

俺、いま幸せです‥‥‥じゃなくて! 物凄く緊張するんだよ。最初なんか唯でさえエロ‥‥‥失礼、魅惑的な身体なのに、さらにスポブラとトランクスだけの露出の高い恰好されてるんだぞ、そんなのと対峙したらそりゃもうぼっ‥‥‥じゃなくて! 本気も出せなくなるって事を言いたいわけ! 密着しようもんなら殴られてもいないのに鼻血が出るってもんだ。

一度あまりにも勝てないからセクハラ攻撃で勝とうとしたら、逆効果でいつも以上にボッコボコにされたっけ。自業自得なんだけどあの時は殺されると思ったな。今思い返すだけでも震えがくるぜ‥‥‥。

だけど人間て慣れる生き物だとつくづく思うよ。そうやって毎週スパーリングをやってると、そういった邪な気持ちが薄らいでくるんだ。それよりも、負けた悔しさから次こそはと思ってトレーニングにも熱が入るってなもんだ。だけど勝てないんだよなぁ~。

だが今日こそ勝つ! 

 

「よし、勝負だラムザ!」

「へぇ~、今日はいつになく積極的じゃないか」

「何時までも女に負け続けてたら男が廃るってもんだ!」

「そういう偏見は持たない方がいいぜ、じゃあリングに上がりな」

 

俺は今日こそラムザに勝つと意気揚々とリングに上がったものの、結局は返り討ちにあって失神KOしてしまった。良い処まではいってたんだぜ、首相撲からの膝蹴りがラムザの鳩尾に入って悶絶させたんだ。あと少し、そうあと少しで勝てるって思ってつい気が逸っちまって不用意に近づいたのがダメだった。止めを刺そうとして逆にカウンターを顎に食らってハイ、アウト!

クッソ~、次こそ勝つからな~! 覚えてろよ~!!(でも失神KOした後、気が付くまでラムザに膝枕されたのはよかったな、うん)

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ゲーディア皇国軍【兵器、編制】

  • ゲーディア皇国宇宙軍艦艇群

☆『インヴィンシブル級』

艦種・戦艦

全長・363m

武装・主砲(360㎜三連装ビーム砲)×3(6番艦のみ×4)、副砲(240㎜三連装装ビーム砲)×4、対空火器(四連装レーザー砲)×24、艦首ミサイル発射管×6、艦尾機雷発射装置×6

【備考】

・ゲーディア皇国建国以来使用していた戦艦の老朽化を受け、軍事政権がパウリナ条約破棄を念頭に発注した宇宙戦艦。しかし、パウリナ条約破棄は成されぬまま軍事政権が崩壊したため一時は計画の中止も検討されるも、サロス帝の命令で継続される。

・パウリナ条約の規定に従って建造されたためにペースが遅く、1隻建造すると次の建造に一定の開きがあった。そのため1番艦(ほぼ同時期に2番艦も建造)と3番艦以降に建造された艦には細部に微妙な違いが見られる。

・統一連合との戦争時には、艦隊旗艦の座を「X計画」で建造された艦艇に取って代わられるも、独立したアフラ並びにコロニー国家に提供されて各国の艦隊旗艦となる。

【同型艦名】

1番艦「カイザー」皇帝座乗艦。

・竣工日「宇宙歴179年2月17日」

・船体を皇族のカラーリングである赤に塗装されている。

2番艦「インヴィンシブル」元第1艦隊旗艦でネームシップ。

・竣工日「宇宙歴179年2月19日」

・旗艦の任を解かれた後は、第1艦隊第01戦闘群旗艦となる。

3番艦「インヴィジブル」元第2艦隊旗艦。

・竣工日「宇宙歴181年12月6日」

・旗艦の任を解かれた後は、新アフラ共和国へ供与されて同宇宙艦隊旗艦となる。

4番艦「インヴィディア」元第3艦隊旗艦。

・竣工日「宇宙歴185年1月11日」

・旗艦の任を解かれた後は、タロ・マーティ共同国へ供与され、同宇宙艦隊旗艦となる。

5番艦「インヴィクタス」元第4艦隊旗艦。

・竣工日「宇宙歴188年3月9日」

・旗艦の任を解かれた後は、ドゥルジ・コロニー同盟へ供与され、同宇宙艦隊旗艦となる。

6番艦「インヴィテイション」元第5艦隊旗艦。

・竣工日「宇宙歴193年10月25日」

・第5艦隊旗艦の任を解かれた後は、第1艦隊第02戦闘群旗艦となる。

・唯一艦底部に主砲塔(4番)が装備されている。

 

☆『アンティクヴァ級』

艦種・巡洋艦

全長・220m

武装・主砲(240㎜二連装ビーム砲)×2、副砲(180㎜二連装ビーム砲)×2、対空火器(4連装レーザー砲)×12、艦首ミサイル発射管×4、艦尾機雷発射装置×4

【備考】

・老朽した前巡洋艦の代替えとして軍事政権が発注した高速巡洋艦。

・パウリナ条約破棄がなされなかったため条約規定内での建造を強いられる事となり、当初の建造予定数を大きく下回る。

・統一連合との開戦時は第1艦隊所属や予備役、同盟国へ供与された。

【同型艦名】

1番艦「アンティクヴァ」ネームシップ。

・竣工日「宇宙歴179年1月17日」

2番艦「インテリア」3番艦「エクステリア」など、全部で37隻。

 

☆『オルド級(オルド改3型)』

艦種・巡洋艦

全長・220m

武装・主砲(240㎜二連装ビーム砲)×3、副砲(155㎜単装ビーム砲)×2、対空火器(4連装レーザー砲)×12、艦首ミサイル発射管×4、艦尾機雷発射装置×4

【備考】

・4年戦争末期に建造が開始されたゲーディア皇国宇宙軍最初の巡洋艦。

・建造開始から40年以上が経つが、定期的に近代化改修が行われて使用され続けている。

・アンティクヴァ級に代替えされる予定だったが、パウリナ条約破棄がなされなかったため、以降も皇国宇宙艦隊の主力となる。

・開戦時は、新アフラ共和国など同盟国へ供与される。

【同型艦名】

1番艦「オルド」ネームシップ。

・竣工日「宇宙歴155年5月15日」

2番艦「ウィスキ」3番艦「アクア・ウィタエ」など、全部で123隻。

 

☆『ズロヴァ級(ズロヴァ改3型)』

艦種・駆逐艦

全長・165m

武装・主砲(180㎜二連装ビーム砲)×3、対空火器(二連装レーザー砲)×12、艦首魚雷発射管×4、艦尾機雷発射装置×2

【備考】

・4年戦争末期に建造が開始されたゲーディア皇国宇宙軍最初の駆逐艦。

・40年以上前の艦船ではあるが、その都度近代化改修を施して使用され続け、同盟国へも供与される。

【同型艦名】

1番艦「ズロヴァ」ネームシップ。

・竣工日「宇宙歴155年3月15日」

2番艦以降の艦名は、駆逐艦を示す記号「D」にズロヴァのイニシャル「z」と建造順番で表記される。

例)「Ⅾz‐2」は、ズロヴァ級駆逐艦の2番艦の意。

建造数は全部で395隻。

 

☆『ワーゴ級(改2型)』

艦種・補助艦

全長・145m

武装・なし

【備考】

・ゲーディア皇国宇宙軍最初期の補助艦。

・輸送艦型や工作艦型など用途によって幾つかの種類があり、民間にも払い下げられている。

・一部改3型(MAS母艦型)への改修を受けた艦もある。

【同型艦名】

1番艦「ワーゴ」ネームシップ。

・竣工日「155年3月15日」

2番艦以降の艦名は、補助艦を示す記号「A」にワーゴのイニシャル「w」と建造順番で表記される。

例)「Aw‐2」は、ワーゴ級補助艦の2番艦の意。

建造数は全部で666隻。

 

  • 「X計画」艦艇群

・X計画に合わせて建造された艦隊群。

・主に皇国宇宙軍の秘密兵器工廠基地である宇宙要塞「ダ・ハーカ」で建造され、パウリナ条約破棄以降はゲーディア本国で建造される。

☆『アスモ・ディウス級』

艦種・弩級戦艦

全長・462m

武装・主砲(460㎜二連装ビーム砲)×3、副砲(330㎜二連装ビーム砲)×6、対空火器(4連装レーザー砲)×36、艦首ミサイル発射管×8、艦尾機雷発射装置×8、艦底部格納式大口径ビーム砲×1、エネルギーフィールド発生装置

MAS搭載数・36機

【備考】

・X計画に合わせて極秘裏に建造された宇宙戦艦。

・通常戦艦よりも巨大で、各艦隊の旗艦として建造される。

・高い火力は勿論の事、マルチ防御システムである「エネルギーフィールド」発生装置を装備し、防御面でも高い性能を持っている。

【同型艦名】

1番艦「アスモ・ディウス」

・竣工日「宇宙歴196年9月16日」

・皇国宇宙軍第2艦隊旗艦。

2番艦「ブラック・ディウス」

・竣工日「宇宙歴196年9月30日」

・親衛隊第2艦隊旗艦。

3番艦「アスモ・ダイオス」

・竣工日「宇宙歴196年10月15日」

・皇国宇宙軍第3艦隊旗艦。

4番艦「アシュ・メイダ」

・竣工日「宇宙歴196年10月21日」

・皇国宇宙軍第4艦隊旗艦。

5番艦「アダイ・モス」

・竣工日「宇宙歴196年11月16日」

・皇国宇宙軍第5艦隊旗艦。

6番艦「アス・デーモ」

・竣工日「宇宙歴196年12月7日」

・皇国宇宙軍第6艦隊旗艦。

 

☆『ディア・ボロス級』

艦種・戦艦

全長・352m

武装・主砲(360㎜三連装ビーム砲)×2、副砲(240㎜二連装ビーム砲)×4、対空火器(四連装レーザー砲)×28、艦首ミサイル発射管×6、艦尾機雷発射装置×8

MAS搭載数・24機

【備考】

・X計画に合わせて建造された戦艦で、中規模以上の艦隊旗艦として使用される。

・火力とMAS搭載力の両立を図って設計されている。

【同型艦名】

1番艦「ディア・ボロス」ネームシップ。

・竣工日「宇宙歴195年5月19日」

同型艦名は、「ディア・〇〇」と命名される。

 

☆『モーヴェ級』

艦種・MAS母艦

全長・330m

武装・対空火器(四連装レーザー砲)×24、艦上ミサイル発射管×36、艦上機雷発射装置×24

MAS搭載数・48機

【備考】

・皇国軍がMAS運用を目的に建造した航宙母艦。

【同型艦名】

1番艦「モーヴェ」ネームシップ。

・竣工日「宇宙歴195年9月15日」

他2番艦「モーヴァ」3番艦「モーヴィ」4番艦「モーヴォ」‥

 

☆『アヴァドン級』

艦種・MAS母艦

全長・1852m

武装・主砲(480㎜二連装ビーム砲)×12、副砲(360㎜二連装ビーム砲)×18、副砲(240㎜二連装ビーム砲)×24、対空火器(四連装レーザー砲)×108、艦上ミサイル発射管×72、艦上機雷発射管×36、エネルギーフィールド発生装置

【概要】

・皇国軍が誇る巨大MAS母艦。

・数百機のMAS搭載力に加え、艦内にMAS製造工廠も備えている。

・移動拠点として単艦で1個艦隊の役割を果たすために生産化を計画するが、建造コスト高で断念する。

【同型艦名】

1番艦「アヴァドン」ネームシップ。

・竣工日「宇宙歴197年1月18日」

・皇国宇宙軍第1艦隊旗艦。

2番艦「アポリュオン」

・竣工日「宇宙歴197年2月26日」

・親衛隊第1艦隊旗艦兼ネクロベルガー座乗艦。

3番艦「アヴァロン」

・設計案はあったが建造中止。

 

☆『メフィス・フェレス級』

艦種・巡洋艦

全長・264m

武装・主砲(280㎜二連装ビーム砲)×2、副砲(180㎜二連装ビーム砲)×2、対空火器(二連装レーザー砲)×12、艦首ミサイル発射管×6、艦尾機雷発射装置×6

MAS搭載数・8機

【備考】

・X計画に合わせて建造された重巡洋艦。

・中小規模艦隊の旗艦を務めることもある。

【同型艦名】

1番艦「メフィス・フェレス」ネームシップ。

・竣工日「宇宙歴194年4月19日」

同型艦名は、「メフィス・〇〇」と命名される。

 

☆『ファウスト級』

艦種・巡洋艦

全長・235m

武装・主砲(240㎜二連装ビーム砲)×2、副砲(155㎜二連装ビーム砲)×2、対空火器(二連装レーザー砲)×8、艦首ミサイル発射管×4、艦尾機雷発射装置×4

MAS搭載数・6機

【備考】

・X計画に合わせて建造された軽巡洋艦。

・様々な任務に就く皇国宇宙軍の主力戦闘艦。

【同型艦名】

1番艦「ファウスト」

・竣工日「宇宙歴192年2月19日」

2番艦以降の艦名は、巡洋艦を示す艦種記号「C」にファウストのイニシャル「f」と建造順番で表記される。

例)「Cf‐2」は、ファウスト級巡洋艦の2番艦の意。

 

☆「セアル級」

艦種・補助艦

全長・300m

武装・180㎜単装ビーム砲×1、対空火器(二連装レーザー砲)×6、艦上機雷発射装置×4

【備考】

・ワーゴ級に代わる補助艦。

・輸送艦や工作艦など幾つかの種類がある。

・ワーゴ級の2倍以上の大きさを誇り、一度に多数の艦船に補給を行うことができる。

・MAS運用機能はないが、積載するだけなら50機搭載できる。

【同型艦名】

1番艦「セアル」

・竣工日「宇宙歴191年11月9日」

・2番艦以降の艦名は、補助艦を示す艦種記号「A」にセアルのイニシャル「S」と建造順番で表記される。

例)「As‐2」は、セアル級の輸送艦の2番艦の意。

 

  • 皇国軍艦隊編成

【隊】

・皇国軍で最小艦隊に使う編成単位。

・艦艇数1隻で構成される艦隊。

・艦隊指揮官はその艦の艦長。

『パトロール隊(哨戒隊)』

・皇国の支配宙域の哨戒任務を行う部隊。

・巡洋艦(主にファウスト級)1隻で編成される。

『特務隊』

・特別任務に就く部隊。

・巡洋艦(ファウスト級またはメフィス・フェレス級)1隻で編成される。

【戦隊】

・数隻の艦艇で構成された小規模艦隊。

・基本艦艇数は5隻だが、それより少なかったり多い場合もある。

・戦隊司令官は大佐または准将。

『巡洋戦隊』

・基本となる戦隊編成。

・旗艦となる艦艇(メフィス・フェレス級)1隻と、4隻の艦艇(ファウスト級)で構成される。

『軽巡戦隊』

・構成艦艇がすべてファウスト級の戦隊。

『O戦隊』

・旧艦艇群で構成される艦隊で、全て第1艦隊所属の戦隊。

・旗艦となる艦艇(アンティクヴァ級)1隻に、4隻の艦艇(オルド級またはズロヴァ級)で構成される。

『航宙戦隊』

・MAS母艦(モーヴェ級)4隻で編成される戦隊。

・この戦隊で単独任務に就くことはなく、いつも護衛となる戦隊(巡洋戦隊または軽巡戦隊)がつく。

『旗艦戦隊』

・艦隊または群の旗艦となる戦隊。

・艦艇(ディア・ボロス級またはアスモ・ディウス)と4隻の護衛艦(ファウスト級)で構成される。

・巡洋戦隊がこの役目を担うこともある。

『特務戦隊』

・特別な任務を受けて行動する戦隊。

・特務隊に、ある程度の戦力を持たせたいときに編成される。

・任務に応じて追加艦艇が選出されるため、構成する艦艇の艦種は様々。

【群】

・5個戦隊で編成される中規模艦隊。

・群司令官は准将または少将。

『戦闘群』

・主に戦闘艦(戦艦、重巡、軽巡、駆逐艦)で構成された艦隊。

・MAS戦より、艦隊火力に重きを置いている。

・基本編成は、旗艦戦隊(ディア・ボロス級+ファウスト級×4)、巡洋戦隊×2、軽巡戦隊×2。

『打撃群』

・MAS母艦と護衛艦で構成された艦隊。

・基本編成は、巡洋戦隊(旗艦を務める)、航宙戦隊×2、軽巡戦隊×2。

【艦隊】

・旗艦戦隊と4個群で構成された大規模艦隊。

・基本編成は、旗艦戦隊(アスモ・ディウス級+ファウスト級×4)、戦闘群×2、打撃群×2。

・艦隊司令官は中将または大将。

 

  • 主な皇国軍宇宙艦隊

☆【第1艦隊】

司令官・ビリィ・キャロムヤード大将

副司令官・リヤド・ポール・ビケット中将

参謀長・ゾリット・ストライフ中将

旗艦・アヴァドン

護衛艦・ファウスト級×4

『第01戦闘群』

群司令官・ルボール・ナイン少将

旗艦・インヴィンシブル

護衛艦・オルド級×4

「アルファ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・オルド級×2、ズロヴァ級×2

「イプシロン戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・オルド級×2、ズロヴァ級×2

「イオタ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・ズロヴァ級×4

「ニュー戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・ズロヴァ級×4

『第02戦闘群』

群司令官・エボル・イートン少将

旗艦・インヴィテイション

護衛艦・オルド級×4

「ベータ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・オルド級×2、ズロヴァ級×2

「ゼータ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・オルド級×2、ズロヴァ級×2

「カッパ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・ズロヴァ級×4

「クシー戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・ズロヴァ級×4

『第03戦闘群』

群司令官・ディーン・フィルホフ准将

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・オルド級×4

「ガンマ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・オルド級×2、ズロヴァ級×2

「エータ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・オルド級×2、ズロヴァ級×2

「ラムダ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・ズロヴァ級×4

「オミクロン戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・ズロヴァ級×4

『第04戦闘群』

群司令官・カニンカル・メルブリッチ准将

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・オルド級×4

「デルタ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・オルド級×2、ズロヴァ級×2

「シータ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・オルド級×2、ズロヴァ級×2

「ミュー戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・ズロヴァ級×4

「パイ戦隊」

旗艦・アンティクヴァ級

護衛艦・ズロヴァ級×4

 

☆【第2艦隊】

司令官・ジャック・チェスピス中将

副司令官・クラウィン・キング少将

参謀長・フェルズ・クイン少将

旗艦・アスモ・ディウス

護衛艦・ファウスト級×4

『第1戦闘群』

司令官・アルフィル・ビショップ少将

旗艦・ディア・ボロス

護衛艦・ファウスト級×4

「第1巡洋戦隊」

旗艦・メフィス・フェレス

護衛艦・ファウスト級×4

「第2巡洋戦隊」

旗艦・メフィス・ファリス

護衛艦・ファウスト級×4

「第1軽巡戦隊」

旗艦・ファウスト

護衛艦・ファウスト級×4

「第2軽巡戦隊」

旗艦・Cf‐6

護衛艦・ファウスト級×4

『第2戦闘群』

群司令官・ルーク・トーレ少将

旗艦・ディア・ガロス

護衛艦・ファウスト級×4

「第3巡洋戦隊」

旗艦・メフィス・フィラメス

護衛艦・ファウスト級×4

「第4巡洋戦隊」

旗艦・メフィス・フォートレス

護衛艦・ファウスト級×4

「第3軽巡戦隊」

旗艦・Cf‐19

護衛艦・ファウスト級×4

「第4軽巡戦隊」

旗艦・Cf‐24

護衛艦・ファウスト級×4

『第1打撃群』

司令官・ナイト・スプリンガー准将

旗艦・メフィス・パレス

護衛艦・ファウスト級×4

「第1航宙戦隊」

旗艦・モーヴェ

所属艦・モーヴァ、モーヴィ、モーヴォ

「第2航宙戦隊」

旗艦・シン

所属艦・パニッシュメント、ペシェ、ピュニシオン

「第5軽巡戦隊」

旗艦・Cf‐29

護衛艦・ファウスト級×4

「第6軽巡戦隊」

旗艦・Cf‐34

護衛艦・ファウスト級×4

『第2打撃群』

司令官・ポール・ポーン准将

旗艦・メフィス・アウル

護衛艦・ファウスト級×4

「第3航宙戦隊」

旗艦・ズンデ

所属艦・シュトラーフェ、ペッカート、ペナ

「第4航宙戦隊」

旗艦・カスティゴ

所属艦・プニサォン、グレフ、ナカザニエ

「第7軽巡戦隊」

旗艦・Cf‐43

護衛艦・ファウスト級×4

「第8軽巡戦隊」

旗艦・Cf‐48

護衛艦・ファウスト級×4

 

【その他の艦隊】

・第3艦隊以下の編成は第2艦隊に準ずる。

☆『第3艦隊』

司令官・ディラン・ポーカード中将

旗艦・アスモ・ダイオス

☆『第4艦隊』

司令官・コンラクト・ブトリッチ中将

旗艦・アシュ・メイダ

☆『第5艦隊』

司令官・ラミィ・ジーン中将

旗艦・アダイ・モス

☆『第6艦隊』

司令官・カルタス・アル・ロッドナー中将

旗艦・アス・デーモ

 

  • 親衛隊艦隊

・親衛隊(戦闘親衛隊)が保有している艦隊。

・親衛隊第1艦隊の所属艦艇は、旗艦以外は旧艦艇で構成されている。

・親衛隊第2艦隊の所属艦艇は、第2艦隊に準ずる。

・船体を親衛隊のイメージカラーの黒で統一されている。

★【親衛隊第1艦隊】

司令官・エルリック・デュラン・ギーズ大将

旗艦・アポリュオン

★【親衛隊第2艦隊】

司令官・マルクス・ビスマイヤー中将

旗艦・ブラック・ディウス

 

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異星大戦記「コロニー戦役~エレメスト降下作戦」

【コロニー戦役(宇宙暦197年9月20日~10月5日)】

9月15日、新生アフラ共和国の樹立の裏で、ゲーディア皇国軍は次なる一手に出ていた。それはエレメスト統一連合政府との講和である。

ゲーディア皇国は、開戦よりも前にエレメスト統一連合との戦争の可能性を予測しており、予め戦闘のシミュレートをしていたのである。そのシミュレートの結果を基に、皇国参謀本部は戦争計画を立案し、統一連合軍が遠征艦隊を派遣すると、その最新の戦争計画を基に宣戦布告したのである。

その戦争計画の大まかな概要は、アンリ・マーユ要塞での遠征艦隊迎撃に始まり、それに伴い目の上のたん瘤であったヘキサスの占領、ホールⅠ、ホールⅡの確保、そしてアフラの占領と独立であった。このすべてを達成した皇国は、最早無用な戦闘を避けるべく統一連合政府に講和を打診したのだ。その際に使者として送られたのが、アフラ占領の際に多くのキッポス政権高官が逃走を図る中で、ひとりアフラに留まって捕虜となった副首相の「タリス・プロポンツ」である。皇国は彼を家族と共に使者として統一連合に向かわせたのである。

一行は16日に統一連合軍の駆逐艦で、目だった損傷も無いのに何故か修理ドックに係留されていた「DY²-777」に乗って使者の任に赴く。統一連合軍の宇宙要塞アル・マティに到着した。プロポンツによって皇国に講和の意思がある事を知った統一連合政府は、すぐさま緊急の議会を開く。しかし、そんな統一連合を嘲笑うかのように、皇国軍は次なる動きに出たいたのだった‥‥‥。

 

『L2コロニー侵攻(宇宙暦197年9月20日~21日)』

9月17日から開かれた統一連合の緊急会議は昏迷を極めていた。皇国との講和も止む無しとする穏健派に対し、軍部やそれに近い政治家たちは徹底抗戦を訴え、激しい議論は平行線を辿って収拾がつかなくなっていた。抗戦派の議員からは、皇国との講和はアフラの独立を容認した事になり、それを認めれば国内に燻る分離主義者たちを刺激すると反対したのである。

エレメスト統一連合は、結成から既に2世紀以上の年月が経っており、その長さ故に国民生活は深刻ではないものの、長い不況と停滞によって活気が失われていた。そのため統一連合政府の政策に不満を持つ者も多く、嘗ての民族国家を復活させようとする運動も時折り行われていたのだ。特にアフラ紛争(4年戦争又はアフラ独立戦争)以降は、アフラ解放戦線軍の残党のテロだけではなく、エレメスト内の分離主義勢力によるテロ事件や独立国家樹立が相次ぎ、その度に統一連合軍が制圧に動いているのだ。そのため統一連合政府としては、おいそれとアフラの独立を認める訳にもいかず、かと言ってこのまま戦争を続ければ、そう言った分離主義勢力と皇国が結び付いてしまう恐れもあるため、統一連合政府としては頭の痛い状況となっていたのだ。

そんな決まらない会議を続ける中、20日に軍情報部からある情報がもたらされ、その事で会議は一気に抗戦派に傾く事になる。その内容は「アフラに駐留する皇国軍艦隊に動きがあり」というモノであった。この情報により軍部は、皇国が講和をチラつかせつつ裏では戦争継続のための準備を進めていると主張、これが追い風となって統一連合政府も戦争継続の流れになったのである。表面上は講和を受けるか検討している素振りを見せつつも返答を先延ばしにし、裏では戦闘継続のための準備に取り掛かったのだ。

一方の皇国では、万が一、統一連合政府が講和を受け入れなかった時のための計画も事前に用意されていた。そのため皇国軍は講和を望みながらも、戦争継続のための準備を整え、講和が成されなかった時に作戦を速やかに実行するために動いていたのだ。その事が結果的に統一連合政府に継戦の意思を固めさせる事になったのだが、統一連合が戦争継続の意思が固まった20日には皇国軍情報部もその情報を得ており、エレメスト統一連合政府に講和の意思なしと判断して作戦を本格的に実行に移したのである。

皇国軍の次なる目標は要塞攻略である。当時エレメスト圏の3ヶ所のラグランジュポイントにはそれぞれにコロニー群があり、そこを防衛(監視?)するために統一連合軍の宇宙要塞(鎮守府)が置かれていた。その宇宙要塞を攻略するべく、皇国軍はコロニー群攻略作戦を実行に移す。

皇国軍がまず攻略に選んだのが、宇宙要塞「アーシャ」である。L1コロニー群を守るこの要塞を最初に選んだ理由は、ここの住人の多くが統一連合からの独立志向が強い事である。嘗て最も統一連合からの独立志向が強かったアフラであるが、先の戦争で敗北し、キッポス政権の下、その独立志向は抑え込まれていた。その甲斐あってか? 新生アフラ共和国が独立宣言をした頃には、昔の様な独立を希求する住人は少なくなっており、逆に独立に困惑する住人が多かったのだ。それに取って代わるように、L1コロニー群の住人が統一連合からの独立の思いを強く持つ様になっていた。

事の起こりは10年程前にとある思想家が現れた事が切っ掛けだった。彼の訴える言葉にL1コロニー群の住人は共感し、徐々にその規模を増大させ、遂には独立運動を始めるほどになったのである。結局、その思想家は3年前に当局によって逮捕される事になったのだが、彼が逮捕されてもL1コロニー住人の熱意は冷めることなく、むしろ燃え上がったと言う訳である。今では事ある毎に各コロニーで大規模な抗議デモが起こるようになっていた。当然15日のアフラ独立宣言は彼らの独立心に火をつけ、普段ならば抗議デモに留まっていた彼らも、遂にデモから暴動へとエスカレートして治安維持部隊と衝突するようになっていた。

この衝突で多くの死傷者と逮捕者を出したものの、住人は怯む事無く暴動はより一層激しさを増したのである。そんな混乱の中にあるL1コロニー群を攻略すべく、皇国宇宙艦隊はアーシャに向けて侵攻する。

一方の統一連合軍は、皇国軍の次なる目標が、目下住人の暴動に手を焼いているL1コロニー群と宇宙要塞アーシャであると予測し、アフラ会戦に敗れた迎撃艦隊の再編を急がせる。遠征艦隊の残存艦艇で組まれていた特別艦隊は解体され、先のアフラ会戦で損害が出ていた第1、第11艦隊の補強として編入されたのである。さらに宇宙要塞「ラクシャス」からは第8艦隊が援軍として派遣され、着々と迎撃態勢を整えていった。

しかし、此処で又しても統一連合軍は皇国軍に裏をかかれる事になる。皇国軍のアーシャ攻略はフェイクであり、彼らの本命が宇宙要塞「アル・マティ」ひいてはL2コロニー群である事が発覚したのである。アーシャに向かっていた皇国宇宙艦隊の第1艦隊は囮であり、その他の第2、第3、第4、第5、第6艦隊は全てアル・マティへと侵攻を開始していたのだ。迫る皇国の大艦隊に対して、アル・マティ要塞に駐留していた戦力は第3艦隊のみであり、要塞の防御力を頼みにしても防ぐ事は難しいと判断したアル・マティ要塞司令官「ナンシィ・K・セルケイン」少将は、要塞を放棄して皇国艦隊が来る前に第3艦隊と共にラクシャス要塞に撤退してしまったのだ。

翌21日にアル・マティ要塞に到着した皇国艦隊は蛻の殻の同要塞を占領してすぐさまL2コロニー群の各コロニーに占領部隊を派遣する。統一連合軍に見捨てられる形で取り残された各コロニーの治安維持部隊は既に戦意を喪失しており、何の抵抗を見せる事無く皇国軍に降伏、L2コロニー群はその日の内に皇国軍によって制圧される。

そして25日には皇国の指名した指導者の下、L2コロニー群は皇国によってアル・マティから「タロ・マーティ」と改名された宇宙要塞に因んで「タロ・マーティ共同国」を名乗って統一連合からの独立を宣言したのだった‥‥‥。

 

『アーシャ撤退戦(宇宙暦197年9月27日~9月28日)』

独断で要塞を放棄してラクシャス要塞に撤退したセルケイン少将に対して、統一連合軍は、「状況は分かるも、貴官の行為は敵前逃亡に等しい」と彼女を非難して拘束する。この時に、同じくアル・マティ要塞から撤退した第3艦隊司令長官「ジェームズ・ビック」大将も同罪であるとの声が上がる。しかし大将は「撤退は戦略的なものであり、貴重な戦力を無意味に消失させないための措置」と言い張り、軍部からの擁護の声もあってビック大将の罪状は不問とし、セルケイン少将も後に釈放される。

とは言え、アル・マティ要塞が皇国軍の手に落ちた事で、統一連合軍は動きが取りずらくなる。皇国軍に寄ってタロ・マーティと改名された旧アル・マティ要塞の存在は、今迄安全圏だったラクシャス要塞も、皇国軍の攻撃圏内に捉えられたからだ。この事態に急遽第8艦隊のアーシャ派遣が中止になる。

これによって統一連合宇宙艦隊は、アーシャ要塞に「第1、第7、第11艦隊」を、ラクシャス要塞には「第3、第4、第8艦隊」を要するようになり、期せずして宇宙艦隊を真っ二つに分ける事になったのだ。

此処で統一連合軍統合作戦司令本部ではある計画が検討される。それはラクシャスの全艦隊をアーシャに結集させ、その全軍を持ってアフラ奪還を行うというモノである。

失敗すれば、統一連合軍は宇宙艦隊と宇宙での拠点をすべて失う事になり、可なりのリスクを伴う作戦である。しかしこのまま何もしない訳にはいかず、統一連合軍司令本部は作戦の決行を政府に申し出る。既に25日にタロ・マーティ共同国の独立宣言が成された事もあって、L1コロニー群は更なる混乱を見せていた。次は我々だと勝手にコロニー単位で独立宣言を行うなど、L1コロニー群は混乱の極みに居たのだ。この頃には暴動は既に各コロニーに駐留する治安部隊だけでは収拾がつかなくなる処まで発展しており、状況が状況だけに軍を挙げての制圧は逆効果であると、統一連合は半ば傍観を決め込む形になっていた。そんな状況でのアフラの奪還は、独立に逸るL1コロニー群の住人の意識を挫くという役割もあり、早急に行うべき作戦であると、統合作戦司令本部からも期待を寄せられていたのだ。

しかし、此処で統一連合政府は決断を渋った。失敗した時のリスクが余りにも大きいと判断したのだ。だが、この統一連合政府の決断の遅れは、彼らに災厄の結果を生む事になる。27日、皇国軍がL1コロニー群へ向けて艦隊を派遣したのだ。皇国軍はアフラからは第1艦隊を、タロ・マーティ要塞から第6艦隊を覗く4個艦隊を持ってアーシャ攻略に出たのである。

この事態に統一連合軍はラクシャスより第3、第4、第8艦隊を派遣させ、全宇宙艦隊戦力を持って迎撃に当たろうとする。しかし、此処で統一連合政府が横槍を入れる。情勢不安が激しいL1コロニー群を放棄して、全戦力でL3コロニー群を防衛するよう命令して来たのである。統一連合政府としては、反エレメスト(統一連合)色の強いL1コロニー群を守るよりも、親エレメスト(統一連合)の多いL3コロニー群を守る方が得策であると判断したのである。

この政府の決定に軍司令部は猛抗議したものの、その決定が覆る事は無く、統一連合軍は政府の命令を受け入れざる負えなかった。軍司令部はアーシャ要塞並びに同駐留艦隊に撤退の命令を下すと、アーシャ要塞では混乱が生じる。既に要塞近くまで皇国艦隊が迫っており、今撤退する事は、皇国軍に背後を突かれる恐れがあるからで、撤退しようにも如何する事も出来ない状態だったからである。だが、ここでアーシャの統一連合軍が意地を見せる。まず3個艦隊が皇国艦隊を抑えている間に、アーシャ要塞の将兵が要塞からの脱出を図り、その後は第11艦隊が殿を務めて第1第、7艦隊を撤退させたのである。この戦闘で第11艦隊は壊滅、艦隊司令長官の「ジュード・ウルファ」中将は戦死するも、第1、第7艦隊はほぼ無傷で撤退を成功させる。しかしこの一件で、軍部が統一連合政府に対して不信感を募らせる要因となったのだった‥‥‥。

 

【イグドーラ講和会談(宇宙暦197年10月10日)】

9月30日、L1コロニー群は、皇国によって改名された要塞名に因んで「ドゥルジ・コロニー同盟」を名乗り、統一連合から独立を宣言する。アフラに続きL1、L2コロニー群が独立を宣言した事で、エレメスト統一連合はさらに追い詰められる事になる。しかし、此処で皇国軍側にも問題が生じた。旧アーシャ要塞の第1、第7艦隊がラクシャス要塞にほぼ無傷の状態で合流した事で、同要塞の統一連合宇宙軍の戦力が未だに保たれており、おいそれと手出しできない状態だったからである。

此処で皇国は、先日使者として開放した元アフラ副首相のプロポンツとコンタクトを取り、自らの停戦の意思を伝えたのである。プロポンツを通して皇国が停戦を望んでいる事を知った統一連合政府は、それを受け入れ、10月10日に国際中立地である第1軌道エレベーター※「イグドーラ」ステーションでの両政府による講和会談が開かれる。

皇国は統一連合政府に、新生アフラ共和国、ドゥルジ・コロニー同盟、タロ・マーティ共同国の独立を認め、ホール・ワン、ツーを今後は皇国の管理の下で運用し、統一連合宇宙軍の縮小を停戦の条件に提示する。この要求に統一連合側の外交使節団は、軍の連敗による宇宙戦力の消耗もあって要求をのまざる負えないと、今まさに調印しようとしたその時、エレメスト統一連合の中央行政本部である「メタトロス」から全世界に向けての放送が成されたのである。

この放送は統一連合軍によって行われ、統一連合政府関係者の中に皇国と通じている裏切り者がいて、彼らによって軍の行動は皇国軍に筒抜けになっており、そのため戦闘に負けたのだと訴えたのだ。そして憲兵隊によって彼らを逮捕し、断罪するという趣旨のものだった。続けて軍部は統一連合軍は皇国に屈しておらず、反攻の意思を世界中に示したのである。

この放送を受けて、統一連合の外交使節団は困惑するも態度を一変し、停戦条約は戦時条約に変わり継戦が確定したのだった‥‥‥。

 

【天秤作戦「タロ・マーティ&ドゥルジ防衛戦」(宇宙暦197年10月17日~10月18日)】

10月10日、統一連合、皇国間で行われた講和会談は、統一連合軍の介入によって破談に終わり、戦争は継続される事が決まる。そして会談は継戦に際して、戦時国際法を厳守し、核兵器や細菌化学兵器などの大量破壊殺傷兵器の使用禁止などを話し合うにとどまった。

ただこの一連の出来事は、統一連合政府が皇国に降伏しようとし、それを軍が制止したと国民の目には移り、軍部は弱腰の政府を糾弾し、以降の戦争の指揮権を政府から奪う契機にもなったのである。

此れを受けて、統一連合宇宙軍は反攻の為の作戦を開始する。「天秤作戦」と銘打たれたこの作戦は、独立間もないドゥルジ・コロニー同盟とタロ・マーティ共同国を同時に攻めるという所謂二正面作戦であり、これを聞いた第7艦隊司令長官「トーマス・D・モーディラン」中将以下数名の提督や参謀の反対を受ける事になる。しかし、宇宙艦隊司令部は彼らの意見を排して作戦の強行を命じたのであった。この一連の動きには宇宙軍省と地上軍省の長年の対立構造があった。政府から戦争の指揮権を奪った軍部であったが、その発言権を得たのは、目下皇国軍と戦っている宇宙軍省ではなく、地上軍省だったのだ。この事に対して宇宙軍省は反発するも、開戦から連戦連敗続きの宇宙軍は信頼が失墜しており、宇宙軍省としては信頼回復のためにも是が非でも戦果を挙げたいと急遽計画したのである。

こうして同月17日、天秤作戦は強行される。ドゥルジには第1、第4艦隊が、タロ・マーティには第3、第8艦隊がそれぞれ進行し、作戦に強く反対したモーディラン中将の第7艦隊は遊軍としてラクシャス要塞に留め置かれる。ただこの作戦、何も信頼回復のためになりふり構わず計画された訳ではなく、この時の皇国軍の配置も関係していたのである。皇国軍は先の講和会談に際して、両要塞に居た全艦隊を一旦アフラに移動させたのである。これは前に講和を申し込みながら、裏で軍を動かした事で会談自体が行われなかった事を反省した事と、3つの独立国が樹立した事で、これ以上求めるモノはない事からでもある。

とは言え、皇国軍は、講和会談が破談に終わって継戦が確定した後も両要塞に艦隊を派遣する事が無く、依然両要塞は皇国軍が残した要塞防衛部隊と、両独立国家が新設した国防隊の志願兵だけが守る状態だったのである。統一連合軍は、この手薄な居間に仕掛けたと言ってもいいのだ。

だが、結果的にモーディラン中将の予測通り統一連合軍は惨敗を喫する。戦力を二分した事もそうだが、両要塞の防衛部隊の主力である機動装甲兵ア・クーの活躍もあって要塞攻略が進まず、そこにアフラから派遣された皇国艦隊の援軍も合わさり、統一連合艦隊は大きな損害を出して、翌18日には撤退を余儀なくされたのである。

だがしかし、この時の惨敗が統一連合宇宙軍に機動装甲兵(ソルジャー)の重要性を認識させる結果となり、以降統一連合宇宙軍はその開発に注力して行くのだった‥‥‥。

 

【エレメスト降下作戦(宇宙暦197年11月1日~12月1日)】

天秤作戦の失敗により、大きくその戦力を失ってしまった統一連合宇宙軍は、ラクシャス要塞防衛に力を入れる事となる。

此処に来て皇国軍内では、ラクシャス要塞攻略の話が持ち上がるも、依然ラクシャス要塞の戦力は侮れず、同要塞の防御力も合わせて攻略が困難と判断されたのである。さらに先の戦闘には勝利はしたものの、皇国宇宙軍も大きな損害を被っており、おいそれとラクシャス要塞を攻める訳にはいかなくなっていたのだ。

そこで皇国軍参謀本部は新たな作戦へと打って出る。それが「エレメスト降下作戦」である。各基地で兵器の量産を進めて宇宙艦隊と部隊の補充を行うと共に、先の戦闘には参加せずに温存されていた皇国地上軍を使って地上攻略する作戦に出たのである。

エレメスト降下作戦の目的は、エレメストとラクシャス要塞の繋がりを絶つのが最大の目的であった。エレメストにはふたつの軌道エレベーターがあり、それぞれに地上と宇宙を繋ぐ重要な役割を担っていた。このふたつの軌道エレベーターの存在がラクシャス要塞とエレメストを繋げており、そこを絶つ事によってラクシャス要塞を干上がらせる作戦、所謂兵糧攻めにするのが皇国軍の目的であった‥‥‥。

 

『第1次エレメスト降下作戦(宇宙暦197年11月1日)』

11月1日、本国から来た地上軍を乗せ、ドゥルジ、タロ・マーティ両要塞から輸送船団と、それを護衛する皇国宇宙軍艦隊が第1軌道エレベーター「イグドーラ」へと向かう。

軌道エレベーター国際法で守られており、軌道エレベーターとその周辺宙域(地域)は非武装中立地帯となっていて、おいそれと艦隊が通過する事すら許されない地域であり、無論戦闘を仕掛けるなどもってのほかである。しかし皇国軍内では、国際法を無視して直接軌道エレベーターを攻略しようとする意見も少なからずあったものの、ネクロベルガー総帥の「国際法を遵守せよ」という命により、直接攻略ではなく間接攻略に切り替わったのである。

まず、皇国軍は軌道エレベーターの非武装宙域の外縁部に護衛艦隊を展開し、輸送船団から部隊や物資を搭載した大気圏突入用ポッドを次々と地上に投下する。

この皇国軍の動きに統一連合宇宙軍は全く対応出来ずに静観するしかなく、皇国軍は何の抵抗も受けぬまま作戦の第1段階を成功させる。

皇国軍降下部隊は、地上に降り立つとすぐさま周辺の都市や軍施設へと攻撃を開始しする。この時に活躍したのも新兵器のア・クーであった。宇宙からの空挺作戦で地上に降り立ったア・クーは、人型という兵器としての異様さと、その巨体とで統一連合地上軍将兵から畏怖の対象となって行く。そしてア・クーの活躍により、降下作戦開始から僅か1ヶ月弱で、イグドーラ・シティ周辺地域の非戦闘地帯を囲む一帯は皇国地上軍に制圧されたのだった‥‥‥。

 

『第2次エレメスト降下作戦(宇宙暦197年12月1日)』

第1次エレメスト降下作戦に続き、12月1日には第2次降下作戦が決行される。

この頃には、第1次降下作戦の際の「ア・クーC」の戦闘データを基に地上に適応した改良型の「ア・クーC2」も生産が開始されており、地上侵攻作戦はさらにスムーズに進んで行き、以降皇国軍は地上での占領地を広げていくのだった‥‥‥。

 

 

 

 

 

※・「軌道エレベーター」惑星地表面から静止軌道以上まで伸びるエレベーター。宇宙エレベーターとも言われる。

エレメストには第1軌道エレベータ「イグドーラ」と、第2軌道エレベータ「アストーラ」のふたつがあり、軌道エレベータを中心に一定の範囲内は非武装、非戦闘地帯と国際法で定められている。

地表面には都市(シティ)、静止軌道側には宇宙港となるステーションがある。

異星大戦記「開戦~アフラ独立宣言」

【アンリ・マーユ会戦(宇宙暦197年8月26日)】

第4惑星ゲーディア皇国は第3惑星エレメスト統一連合に対して宣戦布告、両国の間で戦端が開かれる。

統一連合軍は、皇国に最後通牒をつきつけると共に、宇宙艦隊の半数である6個艦隊で編制された遠征艦隊を脅しの意味で派遣しており、皇国宇宙軍の拠点でもある第2衛星「アンリ・マーユ」要塞に接近していた。

迫りくる遠征艦隊に対し、皇国軍が行ったのは岩石による攻撃だった。皇国軍は、統一連合軍が遠征艦隊を編成しているとの情報をキャッチするとすぐさまアンリ・マーユ周辺に無数の岩石を設置する。そして開戦となると遠征艦隊に向かて次々と発射し、岩石を一種のミサイルとして使用したのである。遠征艦隊は迫りくる岩石ミサイルを粉砕しようと主砲の一斉放射を行う。しかし、この岩石ミサイルは統一連合の目を欺く一種のブラフであった。実際はただのダミーバルーンであり、中にはビーム兵器を無力化させる【アンチ・ビーム・パウダー「Anti・Beam・Powder(ABP)」】が詰まっていたのだ。そうとは知らずに主砲の一斉射撃を行ったと遠征艦隊は、自らABPを周囲に散布する形でビーム兵器が使用不可能になる。この事態に慌てて岩石ミサイルへの攻撃を止めた遠征艦隊であったものの時すでに遅く、しかもダミーバルーンは艦隊に近付くと自動的に破裂する時限式で、戦闘宙域は高濃度のABPが広がる事態となってしまう。

開戦と共に強力なジャミングとABPによって精密誘導兵器とビーム兵器が使用不可になった事は由々しき事態ではあるものの、それは皇国軍にとっても状況は同じで、全く艦隊を出撃させない事もあってか、遠征艦隊は事前の作戦通りにアンリ・マーユ要塞へと進撃する。

彼らの作戦はアンリ・マーユ要塞を守る皇国艦隊を蹴散らしつつ要塞に接近し、歩兵部隊を侵入させて要塞内を占領する揚陸作戦である。当初はこの状況に面食らってしまった遠征艦隊だったが、敵が艦隊を出撃させて来ない、要塞からの砲撃も自ら撒いたABPのお陰で出来ないと、状況的に揚陸作戦にはむしろ好都合だと基地に取りつくため前進を加速させる。

相変わらずダミーバルーンを発射する皇国に対し、遠征艦隊それらを無視するようになっていた。むしろバルーンを一々回避するのが面倒だと体当たりする艦も出てくる始末だった。しかし、この行為が彼らに思わぬ事態をもたらす事になる。この頃になると皇国はダミーバルーンだけではなく、本物の岩石ミサイルも飛ばしていて、そうとも知らずに体当たりした戦闘艦が被害にあうようになったのだ。この事態に遠征艦隊司令部は全ての岩石を回避するよう厳命が下る。しかし此れは、皇国の思惑に完全に載せられる形となったのである。

このタイミングで皇国軍は予てより開発していた新兵器【機動装甲兵「マヌーバ・アーマー・ソルジャー(Maneuver・Armor・Soldier)」】を実戦投入する。この人の形を模した兵器、通称「ソルジャー(MAS)」は、その機動性と武装の変更で数多くの作戦に対応できる汎用性を持っており、数に劣る皇国の切り札として開発された兵器である。

皇国はそのソルジャー1個小隊をダミー岩石内に潜ませて、遠征艦隊に向けて大量射出したのだ。統一連合としては、まさかこの中に新兵器が潜んでいるなど夢にも思わず、そのまま回避した事により、彼らを遠征艦隊内部にまで引き込む事になる。艦隊の奥深くまで引き込まれ、頃合いを見てダミー岩石をパージし一斉に外に放たれたソルジャー部隊は、目に付く艦船を手当たり次第に攻撃する。

殆どの場合、戦闘は前方から来る敵との戦いである。あとは奇襲に備えて後方や側面からの敵に警戒するものである。宇宙空間という状況下では、上方と下方にも注意を払っているだろう。だが、部隊の内側にまで意識を払っている部隊はいないものである。自分の隣に行き成り敵が現れる事など瞬間移動でもしない限り無理であり、そんな事が現実には起こりえないからである。だが、この時の遠征艦隊は正にそれが現実になったような錯覚を覚えたかもしれない。突然自分たちの周囲に敵が出現して攻撃して来たからである。当然この事態に遠征艦隊はパニックに陥る。しかも、主要武器も使えない状況で唯一使える武器は対空防護用火器である「レーザー機銃」だけであった。対応武器としては丁度良かったのだが、しかしソルジャーの機動力に翻弄され、次々と撃沈されて行く。さらに悪い事に、艦隊内部で戦闘が起こった事で、本来なら周囲の戦闘艦に守られている筈の旗艦が早々に撃沈されるという事態が起こったのだ。艦隊司令官の相次ぐ戦死は更なるパニックを呼び、たった数時間の戦闘で遠征艦隊は4名の艦隊司令官と4割以上の艦艇を失う大敗を喫したのだった‥‥‥。

 

【ヘキサス撤退「オペレーション・イーグル※1」(宇宙暦197年8月27日~9月12日)】

遠征艦隊の敗北の報に統一連合軍司令部は驚愕する。その一方で、残存する遠征艦隊は宇宙ステーション「ヘキサス」宙域での決戦を想定して急遽損傷艦艇の修理と補給を急がせる。アンリ・マーユからヘキサスまでは、通常の高速旅客シャトルならまる1日、集団で行動する艦隊であっても2日も掛からない距離である。そのため無傷の艦や損傷軽微の艦はヘキサスの防衛に当たりつつ、損傷艦の修理を急がせる事で出来る限り多くの艦艇を戦線に復帰させようとしたのだ。そしてさらに本国へ増援の艦隊の派遣を要請する。

だが、遠征艦隊の要請にエレメスト統一連合軍司令部は、艦隊のアフラ基地への即時撤退を命令する。圧倒的な艦艇数を誇る遠征艦隊が負けるはずがないという慢心からか、統一連合軍は追加で艦隊を派遣する準備が出来ておらず、今から準備しても間に合わないと判断しためである。そのため確実性を取った司令部は遠征艦隊を撤退させてホールを閉鎖する事で、皇国軍が第3惑星圏に侵攻する時間を稼ごうとしたのである。そして撤退した遠征艦隊の残存艦艇と、本国に残っている艦隊で皇国との雌雄を決するというのが司令部の戦略だった。

宇宙ステーション「ヘキサス」は、小型の資源衛星を中心に6基の円筒形の人工物が伸びている独特の形状をした宇宙テーションである。そして6基の構造物の1基が軍港と将兵の生活区となっていて、その他の構造物は居住区になっている。居住区は構造物ごとに1区~5区に分かれていて、約500万人ほどの民間人が生活していた。

ヘキサスのそもそもの建設理由は、第4惑星開拓時代の労働者の居住区で、その役目を終えた後は暫く放置されていたのだが、第4惑星がゲーディア皇国として独立すると、その監視に当たるために軍事拠点として改修されたのである。それと同時に居住区の補修整備も行い、軍人相手の商売人を中心に民間人が居住するようになって今に至る。

そして宇宙ドック兼軍の居住区である第6区には、常に2個艦隊が駐留していて、以前ならばこれだけでも皇国宇宙軍に対処出来る戦力であった。ただこのヘキサスはあくまで居住用の宇宙ステーションであり、防衛には駐留艦隊に依存していると言って良く、要塞としての機能は皆無といってよかった。この事も統一連合軍がヘキサスでの対決を避けた理由でもある。

そんな遠征艦隊の撤退であるが、これはあくまでも軍内だけの話であってヘキサスの市民が知る由も無かった。だが、ヘキサス市民たちは遠征艦隊が大敗した事で、皇国軍がヘキサスに攻めて来ると大騒ぎになっていたのだ。しかも、何故か遠征艦隊がアフラに撤退するという噂も早々に広まり、市民は統一連合軍が自分たちを見捨てたと憤り暴動を起こすまでに至ったのである。

この市民の暴動を遠征艦隊は完全に無視して撤退準備を急ぎ、市民の対応はヘキサス市長の「ハマーナ・モニノ」に丸投げされたのである。怒れる市民に対してモニノ市長は脱出のために航宙会社のシャトル運送業者の輸送船、「運び屋※2」の輸送船などを出来るだけ掻き集め、これでヘキサスから脱出したい市民を乗せて遠征艦隊と共にアフラへの避難を進めたのである。これによって一応の鎮静化は見られたが、今度は宇宙港へ向かう市民の列によって大渋滞が起こる事態となり、引き続きヘキサスは大きな混乱に見舞われたのだった。

一方の皇国軍はというと、撤退した遠征艦隊を追撃するための追撃艦隊「所属艦隊・第1艦隊、第2艦隊、第3艦隊」が発進したのだが、そのときには既にアンリ・マーユ会戦から2週間もたった9月9日の事だった。

これはヘキサスが防衛に向いていないため、統一連合軍は残存艦隊をアフラに撤退させると読んで彼らが撤退するまで待っていたのである。これによって皇国軍はヘキサスを無血占領しようとしたのだ。

これは事前の計画ではあったものの、追撃艦隊総司令長官であり、ゲーディア皇国宇宙軍総司令長官兼第1艦隊司令長官の「ビリィ・キャロムヤード」大将は、作戦を立案した皇国参謀本部に対して「兵は勝つ事を貴び、久しきを貴ばず」という兵法の言葉を引用し、勝利のために迅速に行動するべきだと苦言を呈す。彼としては、直ぐにでも追撃を開始して統一連合軍が援軍を派遣する前にヘキサスで遠征艦隊を壊滅させ、この戦果を持って統一連合に対して有利な条件で講和を結ぶべきだと主張したのだ。

とは言え、皇国参謀本部には別の思惑もあり、彼の提案は避けられたのである。

そんな皇国軍の追撃艦隊のミッションは3段階に分かれていた。その第1段階「オペレーション・イーグル」は、名前とは裏腹に可なりの鈍重な作戦であった。目的上しょうがないとはいえ、まず発動までに2週間を要し、アンリ・マーユを出撃した後も可なりの低速移動でヘキサスを目指したからだ。ただ皇国軍の予測は的中し、統一連合軍はヘキサスの放棄を決定して遠征艦隊を撤退させ、それに追随するヘキサス市民の避難船団と共にホール・ツーへと向かったのである。

遠征艦隊の撤退は、すぐさま追撃艦隊に知らされ、これを受けて追撃艦隊は速度を上げてヘキサスへ向かい予定通り無血占領する。そして追撃艦隊自体はヘキサスへ占領部隊を送るとすぐさまホール・ツーへと向かう。しかし、この時には既に遠征艦隊と避難船団はホール・ツーからホール・ワンへと抜けており、ホールは閉じられた後であった。

9月12日、追撃艦隊は既に封じられたホール・ツーを占領する。だが、ホール・ワンが閉じている事でまったくの無用の長物と化したホール・ツーだったが、既に皇国軍は作戦の第2段階「オペレーション・アルバトロス」を発動していたのだった‥‥‥。

 

【ホール・ワン襲撃事件「オペレーション・アルバトロス」(宇宙暦197年9月11日~12日)】

残存艦隊と避難船団の一団は、ホール・ツーからホール・ワンへ抜けて一路アフラへ向かっていた。そんな船団の中にあって、一際異彩を放つ輸送船があった。その輸送船は皇国軍が使っていた旧式のズローヴァ型輸送艦の払い下げを改修したもので、特に目を引くのは船体にアニメの美少女キャラクターをラッピングしている事である。

この一件場違いなラッピング輸送艦はヘキサスの有力者であり、モニノ市長の支援者でもある「ガイ・カレロ」によって用意された特別な輸送艦で、彼が懇意にしていた人物で避難を願い出た者のために用意されたものであった。ただこの輸送艦、派手な見た目のお陰で脱出に不安を覚える避難民からは好印象を持ってもらえたようで、窓を覗いてその輸送艦を目にする事で、避難民にチョットした安堵感を与えていた。ただ一部の避難民や遠征艦隊の将兵には不謹慎と捉える者も居たようである。

そして避難船団がアフラに近付くにつれてその輸送艦は目撃されなくなる。しかし、戦争を避けてアフラへの一時避難をした者達には、その後の避難生活に不安を覚える者も多く、誰もその事を気にする者はいなかったのである。

そんな中、その輸送艦は一団から離れて漂っていた。エンジントラブルを起こして避難船団に付いて行けなくなったのだ。そこに殿を務めていた第12艦隊が現れ救助すると打診したものの、トラブったラッピング輸送艦はそれを断る。理由としては第12艦隊の手を煩わせたくないという事と、既に彼らは第3惑星圏内に居るため危険はないというのだ。第12艦隊も速やかにアフラ基地に寄港したいという事もあって、輸送艦の言い分を聞いて彼らを置いて去って行く。しかし、これこそがラッピング輸送艦の狙いであった。船団は頃合いを見計らって方向転換し、一路ホール・ワンへと戻って行ったのある。

ホールまたはゲートと呼ばれる巨大なリング状の建造物は、一種の転送装置である。エレメストの天才科学者「グラッフ・ホールマン」によって開発され、二つのホール同士がリンクする事で、そのホール間ならば如何に遠距離であっても瞬時に往来する事が出来きるのである。しかし、一方が起動したとしてもリンク相手が起動していなければ繋がらない仕組みのため、遠征艦隊がホール・ワンを抜けた後に閉鎖(機能停止)するだけで、皇国軍がホール・ツーを占領したとしても使用する事が出来ないのである。そのため皇国軍はホール・ツーだけではなくホール・ワンも占領せねばならず、そのための作戦が「オペレーション・アルバトロス」である。

ラッピング輸送艦はそのための部隊で、事前に避難船団に混じってホールを抜けて第3惑星圏に行き、エンジントラブルを装って避難船団から離れてホール・ワンを急襲するのが彼らの任務であった。順調に作戦を遂行したラッピング輸送艦はホール・ワンに近付くとすぐさまジャミングでホール・ワンの通信を阻害し、輸送艦からソルジャー部隊を出撃させる。

あっと言う間にソルジャーに包囲されたホール・ワンは呆気なく降伏。皇国軍はすぐさまホール・ワンとホール・ツーとをリンクさせ、ホール・ツー周辺で待機していた追撃艦隊を第3惑星圏へと引き込む事に成功したのである。

そして皇国軍は、作戦の最終段階である「オペレーション・コンドル」を発動するのだった‥‥‥。

 

【第1次アフラ会戦「オペレーション・コンドル」(宇宙暦197年9月12日~14日)】

9月12日9:30 統一連合軍のアフラ基地では、突然ホール・ワン周辺に強力なジャミングが掛かった事を不思議に思い調査のための偵察艇を派遣する。そして約5時間後、派遣された偵察艇乗員が目にしたのは、眼前の宇宙空間に広がるゲーディア皇国軍の大艦隊だった。

偵察艇はすぐさまアフラ基地に事態を報告する。この知らせに皇国軍が来るのは早くても1ヶ月半から2ヶ月後だと思っていた統一連合軍は驚愕する。そしてすぐさま駐留艦隊と無傷の残存艦隊を合わせた「迎撃艦隊」を向かわせたのだ。

一方エレメスト本星の司令部では、皇国軍のアフラ強襲の報を受けて戦略が破城してしまった事で場当たり的で不明瞭な命令が二転三転するようになり、司令部がいかに混乱状態になったかを露呈する結果となる。

そんな中、いち早くアフラ基地救援に動いたのが、L1コロニー群の防衛を担う宇宙要塞「アーシャ」である。この時点でアーシャに駐留していた唯一の艦隊である第7艦隊が出撃準備に取り掛かる。それとは反対に、L2コロニー群の防衛を担う宇宙要塞「アル・マティ」は、駐留している第3艦隊を派遣するとL2を守る防衛艦隊が居なくなるとアフラ救援を渋り、さらにL3コロニー群を防衛する宇宙要塞「ラクシャス」に至っては、2個艦隊「第4、第8艦隊」を保有しながらも、位置的にアフラとは正反対の場所にあるため艦隊の派遣する素振りすらも見せず、各宇宙要塞の行動がバラバラになってしまっていた。結局、アフラへの組織だった援軍派遣が行われないまま、『第1次アフラ会戦』が開始される。

9月12日20:00 両軍はアフラ近くの宙域で激突する。両軍の戦力比は4:1と圧倒的に統一連合軍が上回っていたのだが、蓋を開けてみると統一連合軍迎撃艦隊は皇国追撃艦隊に苦戦を強いられた。それは艦隊戦に入る前に皇国軍の新兵器であるソルジャー「ア・クー」が迎撃艦隊に強襲を仕掛けたからである。ア・クーの航宙機並みの機動力と巡洋艦並みの攻撃力に迎撃艦隊はその数を磨り減らされていく。そして続く皇国艦隊との戦闘でもア・クーは投入され、迎撃艦隊は苦戦を強いられる。しかし艦艇数の上で圧倒していた迎撃艦隊は粘りに粘り、艦隊戦は予断を許さない一進一退の攻防を繰り返す事となる。

しかし此処で迎撃艦隊に耳を疑うような報告が届く。会戦が始まって24時間が経過した13日20:20 なんとアフラ基地が敵の攻撃を受けているとの報告が入ったのである。これには迎撃艦隊も動揺を隠せず、その動揺が艦隊全体の士気にも影響を与えて迎撃艦隊は徐々に崩壊へと向かって行くのだった。

一方のアフラ基地では皇国軍の別動隊による攻撃にさらされていた。迎撃艦隊が皇国艦隊と戦闘を始めて数時間の後、突然アフラ基地内各所で爆発が起こったのだ。この謎の爆破の対応に気を取られている隙を狙うように、謎の艦隊が出現したのだ。皇国のモノでは無い戦闘艦と輸送艦の混合艦隊は数にして20隻ほどで、その内の輸送艦は航宙母艦に改造されていて航宙機とソルジャーを発進させ基地を攻撃する。

まさか別動隊がいるとは思っていなかったアフラ基地は、稼働可能な全ての戦闘艦を皇国艦隊迎撃に向かわせてしまったため基地内のドックには修理中の艦艇しかおらず、基地の防衛システムと防宙用の航宙機隊での迎撃に出る。しかし、ソルジャー相手に基地の防空システムと迎撃機だけでは力不足で、時間が経つにつれて基地の防空システムは撃破され、遂に地上部隊が基地内に突入する。

その頃の迎撃艦隊は、アフラ基地が攻撃されていると報告を受けた動揺もあってか、戦線を維持できずに数時間後には撤退を開始する。しかし皇国艦隊の必要な追撃を振り切れずに損害だけが増えていく。このまま壊滅かと思われたそのとき、宇宙要塞アーシャから出撃した第7艦隊が救援に現れる。救援に来た第7艦隊が皇国軍の追撃部隊を足止めした事で、迎撃艦隊は何とか撤退に成功する。しかしアフラ基地との連絡が取れず、状況が分からないアフラに戻るよりも、アーシャに向かった方が良いとの判断で迎撃艦隊は第7艦隊と共に要塞アーシャへと進路を取るのだった。

9月14日6:00 基地内に敵の地上部隊が突入した事と、迎撃艦隊が敗北したとの報告が入ったアフラ基地は、これ以上の抵抗を諦め降伏を願い出る。これを受けた事で別動隊も戦闘を停止、条約に基づく対応を始めると共に彼らは自らの正体を明かす。

別動隊は皇国の正規軍ではなく、彼らと手を結んだ「アフラ解放戦線」の残党である事が分かったのだ。今から40年以上も前の4年戦争終結後に第3惑星圏でテロ行為で猛威を振るっていた彼らも、時の流れには逆らえず、徐々にその活動を減らしていった。そして10年くらい前から完全に活動しなくなったのだ。そのため世間的には自然消滅したと思われていたのだが、実は数年前から皇国と手を結んでいたのである。

4年戦争時代のメンバーも殆どいなくなり、世代交代していたアフラ解放戦線には既に活動資金も無く、海賊行為に手を染めて細々と存続していたに過ぎなかったのだ。そんな彼らに目を付け手を差し伸べたのが皇国軍だった。当初は、アフラ解放戦線が4年戦争に負けたのは、ゲーディア皇国の裏切りによるものだと断ったのだが、既にあの時代のメンバーが一部の幹部しかいなかった事と、今の状況の打開のために最終的に手を組む事になったのだ。そしてメンバーたちは皇国で戦闘訓練を受けていたのだ。

皇国軍が彼らに目を付けたのは、「パウリナ条約」破棄を目論んでいた頃である。条約破棄ともなれば、統一連合との関係が悪化して戦争になる恐れがあると予測していた皇国軍は、出来るだけ味方を、それも第3惑星圏内の味方を得たいと反統一連合組織と秘密裏に交渉を行っていたのだ。

その後は来たるべき戦争を見越して彼らの秘密基地にア・クーのパーツを運び込んで組み立て、皇国で解放戦線のメンバーがパイロット訓練を受けるなどして着々と準備を整えたのである。彼らの望みは勿論アフラの独立であり、そのためにこの別動隊はアフラ残党の全戦力を持って行われた謂わば彼らの最後の賭けであった。

9月14日12:00 アフラ基地の統一連合軍が降伏した後も、それに納得せずに散発的に抵抗を続けていた部隊も制圧され、アフラ基地は完全に解放戦線残党軍に占領されたのである。その後迎撃艦隊を破った皇国艦隊も合流し、解放戦線残党軍はアフラが統一連合からの独立した事を宣言するのだった‥‥‥。

 

【アフラ独立宣言(宇宙暦197年9月15日)】

9月14日 アフラ基地がアフラ解放戦線残党軍に降伏して占領されると、当時のアフラ首相「シーナン・スポッツ」は真っ先にアフラを脱出して統一連合に亡命する。これによって4年戦争終結から続いた「キッポス政権(行政)」は終了する。

スポッツ首相の亡命とゲーディア皇国艦隊のアフラ到着によって、アフラ各都市は全面的に皇国軍に降伏し、解放戦線残党軍リーダー「キサーノ・キッヴ」がゲーディア皇国軍を後ろ盾に、全世界に新生アフラ共和国の樹立を宣言。初代国家元首に就任する。

9月15日 アフラに皇国軍の増援として第4、第5、第6艦隊が到着、これによって皇国宇宙軍の全ての艦隊が第3惑星圏に集結する。さらにアフラ基地に残っていた修理中の統一連合軍艦艇を鹵獲し、新生アフラ共和国は国防軍の結成と宇宙艦隊の組織を急がせる。

9月16日 皇国軍はアフラに留まっていたキッポス政権の副首相「タリス・ブロポンツ」を使者としてエレメストに派遣し、統一連合政府との停戦交渉の意思を伝える。しかし、統一連合政府は返事を先延ばしにした事で、停戦の意思がないと判断した皇国軍は、20日にL1、L2コロニー群に向けて艦隊を派遣するのだった‥‥‥。

 

 

 

 

 

※1・【】内にある「」内の名称はゲーディア皇国側の作戦名。

※2・「運び屋」は、輸送会社の輸送業者とは別で、個人で行っている運送業者。大手運送会社と契約して仕事を回して貰ったり、個人で客を取ったりと経営形態は様々。

異星大戦記 プロローグ3 「戦争前夜」

宇宙暦196年1月7日

ゲーディア皇国が「パウリナ条約」破棄を宣言し、国防軍の強化に乗り出す。

皇国の条約破棄に、エレメスト統一連合は一方的な条約破棄を非難する。

1月8日

統一連合、皇国に対して経済制裁を開始する。

統一連合による経済制裁に対して、皇国はレメゲウム鉱石のエレメストへの輸出停止で対抗する。

1月10日

皇国の軍拡の動きに、統一連合軍は凍結していた軍備強化計画の再開を宣言。平和路線でパウリナ条約順守を求めていたエレメスト国民も、この事態に統一連合軍支持へと変わって行く。

2月20日

統一連合議会で、スパイ防止法の強化案と、皇国からの渡航者のエレメストへの入国審査を強化する法案が可決する。

3月1日

皇国、エレメストからの渡航者を規制する動きを見せ、両国に緊張が走る。

3月10日

統一連合、第5惑星開発事業団に対し、第5惑星圏内で採取される様々な資源の皇国への輸出を禁止するよう要請する。しかし、事業団側はそれを拒否し、あくまでも中立の立場を取る事を宣言する。

10月1日

統一連合軍の機密情報漏洩が発覚し、犯人として皇国人が逮捕される。

11月2日

皇国人と見られる青年による統一連合関連施設への自爆テロが発生する。一連の事件に対し、統一連合は対テロ法案を強化し、特に国内にいる皇国人に対して監視の目が強化される。

しかし、一連の事件に関して皇国は関与を否定する。

宇宙暦197年1月15日

統一連合政府は、皇国人のエレメストへの入国を完全に停止し、国内の残る皇国人の強制退去を命ずる。

2月5日

皇国国防宇宙軍、第4惑星近郊で大規模な軍事演習を開始。統一連合からの非難にさらされる。

2月10日

宇宙軍に続いて皇国国防地上軍が大規模演習を開始する。

3月10日

統一連合宇宙軍、パウリナ条約以降停止していた大規模演習を再開する。

4月1日

深まる両国の対立関係を修善しようと、皇国が和平会談を申し出るも、統一連合政府に拒否される。

4月15日

皇国、統一連合との関係修復のために、エレメストへのレメゲウム鉱石の輸出を再開を表明。一時的に両国の関係が緩和する。

5月1日

両国の関係が緩和した事で、皇国から統一連合に今一度和平会談を持ちかけるも、統一連合政府からは拒否される。

6月1日

皇国、再三の和平交渉の申し入れを統一連合政府に拒否され、国内にいるエレメスト人の強制退去を命じるも、レメゲウム鉱石の輸出は継続する。

7月1日

統一連合軍、宇宙艦隊をアフラ基地に集結させる。

統一連合宇宙軍の動きに、皇国は再びレメゲウム鉱石の輸出を停止を決定する。

7月5日

統一連合、皇国に対して和平会談の条件として、皇帝制の廃止とゲーディアの民主化を要求する。

7月7日

皇国議会は統一連合の要求を受け入れようとするも、貴族たちの猛反発にあって断念、統一連合の要求を拒否する。

7月8日

皇国国防軍、統一連合の要求拒否による事態の深刻化を懸念し、第2衛星にある宇宙要塞「アンリ・マーユ」の防衛力強化に乗り出す。

8月20日

統一連合宇宙軍、皇国に向けて遠征艦隊「第2艦隊(旗艦艦隊)、第6艦隊、第9艦隊、第12艦隊」を派遣する一方、皇国に対して最後通牒を突き付ける。

統一連合の最後通牒に、皇国議会並びに4大公家以下68の領主貴族による貴族会合が開かれる。

8月22日、皇国議会議長、議会の結果を持って皇国最高議会の招集を要求。2度目の皇国最高議会が開かれる。

 

そして‥‥‥

 

ゲーディア皇国首都(皇都)ミシャンドラ上層部中央区(皇居)

 

ゲーディア皇国国防軍総軍司令長官ネクロベルガー総帥は、総師官房長「ペントス・エヒュドラ」子爵と彼の秘書である「モーラ・ウルガ」を伴って、ゲーディア皇国第5代皇帝「ウルギアⅡ世」に謁見を求めて皇居へ参内する。

謁見の間に通されたネクロベルガーたちは、皇帝ウルギアⅡ世が出御すると、恭しく首を垂れて迎える。そして玉座に座った御年8歳の少年皇帝に、ネクロベルガーは現在の皇国の置かれた状況と、統一連合軍遠征艦隊の動きを説明する。

皇帝と彼らの間に立体映像で第3惑星圏と第4惑星圏が映し出され、ネクロベルガーの説明に合わせて立体映像が切り替わって少年皇帝に状況が説明される。

8月20日にアフラを出た統一連合軍遠征艦隊4個艦隊は、ホール・ワンからホール・ツーへと抜けて統一連合が保有する宇宙ステーション「ヘキサス」へと集結。25日には、ヘキサス駐留艦隊を編入した6個艦隊で、第4惑星へと進出する。

話を聞いている間、少年皇帝は玉座の右側の肘置きに身体を凭れかけ、玉座の右側でお座りしている銀色の毛をした狼(犬)の身体を頻りに撫でる。少年皇帝が撫でている銀色の狼(犬)の名前は「シルヴァ」と言い、ウルギアⅡ世が皇帝に即位した日にネクロベルガーがプレゼントしたものである。高性能センサーを始め様々な装備を内蔵した高性能ロボット犬で、その身体はお座りした状態で2m近い高さを持ち、その巨体ゆえに周囲を圧倒し、それが幼い皇帝の威厳にも一役買っている。

シルヴァはネクロベルガーのアドルとドルフと同様、要人警護用ロボット犬開発、通称「ケルベロス」計画によって製作されたロボット犬で、その最初の完成品、第1号でもある。ただ色々な機能を搭載した事で大型してしまい、完成したものの大きすぎて要人警護には向かないと判断されて長らく倉庫で眠っていたのだが、ノウァ帝暗殺事件を機に皇帝警護のために倉庫から引っ張り出して来たのだ。因みに、アドルが2号、ドルフが3号で、彼らはシルヴァの失敗を受けて小型化したものである。

プレゼントされた当初、ウルギアⅡ世はその余りの大きさに恐怖を感じていたのだが、大きいながらも警護対象者へ愛らしく振舞うシルヴァの動きと、その美しいく肌触りの良い毛並み、さらにはその巨体ゆえに少年皇帝を背に乗せて皇居内を走り回れるなど、今では片時も離れないほど愛着を持って接している。

そんなシルヴァを不安な感情を落ち着ける為か頻りに撫で続けるウルキアⅡ世に、現在までの状況を説明し終えたネクロベルガーは、参内した本来の目的を告げる。

 

「この事態に、72の領主貴族並びに皇国議会も統一連合艦隊に対して防衛戦已む無しとの結論に至っております。皇帝陛下にも御覚悟を決めていただきたく参内した次第で御座います」

 

ネクロベルガーの言葉にシルヴァの身体を撫でていたウルギアⅡ世の手が止まり、表情が強張ってギュッと銀色の毛を掴む。弱冠8歳ではあるものの、皇帝として今の状況をある程度理解し、そして危機的な状況である事を感じているのだ。

 

「ネクロベルガー総帥、余り陛下を怖がらせてはなりませぬ」

 

玉座とネクロベルガーの間辺りに立っている老侍従長が不安がるウルギアⅡ世の心中を察してネクロベルガーを窘める。

 

「申し訳ございません。しかし皇帝陛下に置かれましては何の御心配には及びません、戦争にはなりますが、我々国防軍が必ずや侵略者から国土を守って御覧に入れます」

「勝算はあるのですかな? ネクロベルガー総帥」

「ええ、有事に際して常に防衛策は取ってあります、我が軍に敗北はありません。この件で陛下がお心を乱される事は無いと断言いたします」

 

ネクロベルガーの勝利を確信したような、自身に満ちた言葉に少年皇帝の強張った表情が少し柔らぎ、再びペットの銀狼の毛を撫で始める。しかし、まだ不安の残る少年皇帝は、その不安を払拭する様に直接軍の最高司令官に問い質す。

 

「ほ、本当に‥‥‥」

 

声を発したものの、思ったよりも自分が発した声がか細かった事に驚き、直ぐに口籠ってしまう。黙ってしまったウルギアⅡ世は、軽く深呼吸をして心を落ち着かせ、子供ながらに皇帝としての威厳を示せるように注意しながら話し始める。

 

「ネクロベルガー総帥、信じてよいのだな?」

「はい、必ずや」

 

やはり自信に満ちたネクロベルガーの言葉と態度に、この軍司令長官は勝利を確信していると分かったのだが、それでもウルギアⅡ世は不安が拭えずにいた。そんな少年皇帝の気持ちを察した老侍従長は、代わりにパウリナ条約を破棄した事をウルギアⅡ世が後悔している事を口にする。

 

「陛下の祖母であらせられるパウリナ帝は、平和のために条約を統一連合と結ばれました。それを陛下の代で破棄してしまうとは‥‥‥本当にそれが正しい選択だったのですかな?」

「パウリナ条約は既に機能を果たしてはおりませんでした。統一連合は軍事力の縮小を謳っていながらも、ただ旧式になった艦艇を倉庫に閉まったのみで解体せず、何時でも宇宙艦隊に再編できる形を取っていました。その証拠に8個艦隊まで減させた宇宙艦隊が、今は元の12個艦隊に戻っています。我々が条約破棄を宣言してからまだ1年と8ヶ月ほどしか経過していないにもかかわらずです。これだけでも統一連合が条約を全く厳守していなかった証拠になります」

「確かにそれは分かりますが、戦争を回避する事は出来ないのですか?」

「もはや手遅れに近いですな、統一連合政府はこれを機に嘗ての連合による人類の統一を考えているのでしょう。あの頑なな和平会談の拒否が何よりの証拠です」

「そうですか、新たな戦争が起こるのですな。なんと嘆かわしい事で‥‥‥」

 

侍従長は、少しワザとらしく嘆いて見せると、その行動に無表情なネクロベルガーの表情が微かに変化する。

 

「全人類が自己中心的な人間でしたら戦争が起こる事は無いでしょうが、人とはそう強くは生きられない生物なのです」

「??」

 

ネクロベルガーの発言に、その意図が理解できずに少年皇帝と老侍従長は怪訝な表情になる。

 

「冗談が過ぎましたかな? 何より此処からは軍の仕事です。全て我々にお任せください、万事うまく事を運びますので」

「う、うむ、頼んだぞネクロベルガー総帥」

「ネクロベルガー総帥、これよりそなたの言葉が皇帝陛下の言葉となって皇国の全てが動くのです。くれぐれもその事をお忘れなき様に‥‥‥」

「ハッ」

 

侍従長がウルギアⅡ世が有事の際の皇国の全権を総軍司令長官である彼に委ねた事、そしてその責務を果たす事を告げると、ネクロベルガーは恭しく首を垂れてそれを拝命し、謁見の間から退出するのだった。

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異星大戦記 プロローグ2

自分とは何か? そんな哲学的な事を人間は人生で一度は考えるとか、そう言えば俺もそんなこと考えた事がある様な無い様な‥‥‥。

そして今の俺は10歳の美少年になってしまったのだ。

元の俺は見た目もパッとしなかったし、結婚も諦めた只の引き籠りの40代のオタクおじさんだった。そん俺が今一度人生をやり直す、そんなチャンスを与えられたのだ。俺は神様に感謝した。地球、この惑星、どっちの神様のお陰でこの地に転生したか分からないから一応両方の神に感謝した。俺をこんな美少年で人生をやり直しさせてくれてありがとうございます💖

とまぁ、そんなこんなで俺はこの新たな惑星で新たな人生を迎える事となったのだが、俺って一体何なんだ? と言う疑問が湧き上がってしまった。この身体、確か変な研究室みたいなところの水槽? カプセル? みたいな中にいたんだよな? 変な研究室の水槽だかカプセルだかに入れられてるって事はだ、ゲームなんかでもお馴染みの生物兵器の可能性がある。って事はだ、俺ってなんかの生物兵器だったって事か? まさか超能力を使えたりとか、超絶身体能力が出せるとか、ゲームなんかじゃ見た目がバケモン(それが美しいと言う奴もいるけど)みたいなのが殆どだけど、俺、美少年だし‥‥‥まさか能力使ったら醜くなるとかじゃないだろうな? そんなの絶対嫌だぞ!

とまぁ、こんな疑問を持っても不思議じゃないほど異質な誕生をした俺なんだが、一体俺ってなんだのだろうか? この疑問がこの世界に来て最初の関心事項になっていた。

ま、当然だよな、自分が何者か知りたいのは当たり前だ。特に疑惑を持ってくれと言わんばかりの生まれ方してるんだからな。

ただそれに付いては直ぐに知る事になる。俺をあの研究所から連れ出したナイザ・ティチャルド博士とジーン・リッチ博士が説明してくれたんだ。

まず、俺ともう一人一緒に連れて来られた少女は、あの研究所で遺伝子操作で身体レベルを強化されて生まれた人間、所謂「強化人間」なのだそうだ。

おお! 強化人間きたー!! やっぱりそうなんだ‥‥‥! それを聞いた瞬間、俺の頭の中はカーニバルが始まった。馬鹿みたいに燥いだ(あくまで頭の中で)けど、よくよく考えると強化人間て言ったら精神病んで情緒不安定なイメージがあるから、諸手を上げて喜ぶべき所でもないんだよな、チョット不安になって来た。だけどそれに付いては心配する事は無かった。人の遺伝子を操作する事で常人より優れた能力を持って生まれた人間というだけで、何か異常がある訳では無いそうだ。それどころか外見的美しさに高い学習能力と身体能力、肉体の強靭さとあらゆる病気への耐久性など‥、おおよそ人間が欲するあらゆるものが、ほぼパーフェクトに備わっているらしい。どっちかというと「種」のコーディネーターみたいなものかもしれない。

では何故その様な人間がつくられたのか? それは軍の発案した「強化兵士(パーフェクトソルジャー)計画」によるモノらしい。来たよ強化兵士、軍と言えば強化兵士や強化生物などが定番だよな。まぁ、俗にいうB級映画的展開だな。俺そう言うの好きなんだよな。

それでその強化兵士計画っていうのを説明する前に、ナイザ博士から今のこの恒星系の国際情勢を超簡単に掻い摘んで説明された。異世界に来たばかりで、この星の世界情勢は全く分からんからありがたい。

まず、この星系は太陽系のように恒星の周囲を無数の惑星が回っていて、地球と同じくこの恒星系でも第3惑星が人類発祥の惑星らしい。名前は「エレメスト」と言って、何だかエレメントみたいな名前だな。ま、それはいいとしてだ。この惑星もかつては無数の国家が乱立していたのだが、ある事が切っ掛けで国家間が統一され、今はエレメスト統一連合政府によって統治されているのだそうだ。

地球も何時かそうなるのかねぇ‥‥‥切っ掛けになった「ある事」って何だろう? ふたりに質問してみたけど、ふたりともにはぐらかせれて教えてくれなかった。何故だろう? 気になるんだけど‥‥‥。

取りあえず話を進めるが、この統一連合政府だが、エレメストだけではなく、宇宙に進出して、地球で言う処の月(ここではアフラって名前らしい)を開発して宇宙都市群を建造し、さらにはエレメスト周辺の宇宙空間(ラグランジュポイント)にもコロニー群を建設してドンドン宇宙に進出しているらしい。正にあのアニメの世界と一緒だ。違う処と言えば、既に第4惑星(太陽系で言う処の火星)まで都市開発が進んでいて、現在では第5惑星(太陽系で言う処の木星)にも開発の手が回っているとの事だ。

なかなかの発展ぶりだが、そこでひとつの問題が発生したらしい。統一連合政府の統治が進むにつれ、彼らは自分たちの住むエレメストを重視した政策を取り、徐々にアフラやスペースコロニー群、第4惑星へ移住した宇宙移民者に対して植民地の様な統治政策を取る様になってしまったそうなのだ。

当然、宇宙移民者はその事に不満を持ち、統一連合政府に反発してデモや暴動などが頻発するようになったのだが、統一連合が取った解決策が武力による弾圧で抑え込む事だった。こんな事されれば宇宙移民が統一連合に敵愾心を持つのは当たり前の事で、エレメストと宇宙移民者との対立構造が生まれたのだ。こう言う処もあのアニメと似ているな。

そんな中、遂にアフラで「アフラ解放戦線」なる武力勢力が誕生し、統一連合との間で戦争が勃発してしまったのだ。4年戦争或いはアフラ(解放)戦争と呼ばれたこの戦争は、結果エレメスト統一連合の勝利で終わったのだが、このどさくさに紛れて第4惑星が「ゲーディア皇国」を名乗って独立し、現在に至る訳だ。

こうなると、エレメスト統一連合とゲーディア皇国は、互いを仮想敵国と見なす事になるだろう。一応、皇国は統一連合のお墨付きをもらって独立したらしいのだが、そうは言っても今まで全てを管理していた者としては、ゲーディア皇国の存在は目の上のたん瘤でしかない。それは皇国も百も承知で、互いに軍事力強化の道を辿る事になる。当時の人々はまたすぐ戦争があるのではと噂していたらしいのだが、意外にも戦争にはならなかった。

と言うのも、統一連合は当時アフラ解放戦線との戦争で経済がガタガタになっていて、とても次の戦争をする余裕がなく。

一方の皇国側も、そんな状況の統一連合と比べても圧倒的に軍事力が劣っていたため、両国共にとても戦争出来る状態ではなかった。それから20年余りの時が経ち、戦後の傷も癒え、再びきな臭くなった両国の関係を緩和するため、ある人物が立ち上がる。それはゲーディア皇国の2代目皇帝(女帝)パウリナである。彼女の呼びかけによって、統一連合と皇国の間で軍縮条約「パウリナ条約」が結ばれる事となり、両国は平和への第一歩を歩みを進めたのだ。

でだ、そんな世界情勢の中、統一連合は強化兵士計画を進めていたのだ。まったく人とは何とも戦いの好きな生き物なんだろうと呆れてしまう。ま、それだけ相手が信じられず、猜疑しているのだろう。

皇国の方でも皇帝が代替わりして、その皇帝が「人権剥奪法」などというトンデモナイ法律を作って、エレメストでは「狂皇」なんて呼ばれているらしいから、隠れて軍拡していてもおかしくないらしい。どっちもどっちってやつだ。

で、本題に入るが、こんな状況の中、軍に強化兵士を作れると売り込んだ人物がいた。それが俺たちを作った「ノゲム・ジ・オームズ」というマットサイエンティスト(出たB級映画お馴染みのマッドサイエンティスト!)である。

彼の生い立ちは遺伝子学の権威だった両親から生まれ、彼もとても聡明な頭脳を持って生まれたそうだ。そんな中、両親は彼の弟の遺伝子に手を加える事で、完璧な人間として「アルファ」なる人物を産み出し、世界に衝撃を与える事になる。

だがしかし、その行為を科学の発展と称賛する者もいれば、遺伝子操作で生まれたアルファとそれと作った両親を、神をも恐れぬ行為だと言って批判する者もいる。そんな賛否に分かれての論争の最中、アルファを悪魔の子と批判する者達の手によって、彼は家族ともども殺害されて屋敷に火を放たれたのだ。

この事件は「アルファ事件」としてエレメストでは有名な話しらしい。人の遺伝子を弄って完璧な人間を作る。そしてその完璧すぎる能力に嫉妬した人間たちが自然の摂理を盾に一線を越える。この世界にも「青い秋桜」みたいな過激な連中がいるのだと分かって怖くなった。俺たち大丈夫か?

しかし、アルファの兄であるノゲム博士は人知れず生き延び、その後は過激な連中から身を隠す様に細々と生きていた様だ。しかし、10年程前にエレメスト統一連合軍のある高官に、人間の遺伝子を操作して強化人間が作れると話を持ち込んだのだそうだ。要は自分は優秀で忠実な兵士を作り出せると言った訳だな。

当時、今もだろうが、統一連合政府と軍部は緩やかな対立構造だったらしい。しかも、政府、軍部の内部でも権力闘争があり、それに付け加えてパウリナ条約をめぐっても推進派と反対派の対立があったそうだ。そんな派閥が犇めく中で、博士は自分の話を聞いてくれそうな高官に話を持ち込んだのだ。

ノゲム博士の目論見は当り、その高官と彼の派閥は強化兵士計画を軍内での自らの成果とするため、極秘裏に廃棄された資源衛星に研究所(おれたちが脱出したあそこ)を造って計画を推進したらしい。

しかしノゲム博士の狙いはその後にあった。博士はこの強化兵士計画を隠れ蓑にして、「新人類(ネオ・ヒューマン)計画」なるものを計画していたのだ。新人類計画とは、B級映画好きの俺なんかは何となく想像できてしまうのだが、今の人類(旧人類)を抹殺し、自らが生み出した新人類によって世界を支配するという、トンデモなくB級映画感溢れる計画なのだ。

上手く行く訳がない。そんな風に思ってしまうのだが、元より俺たち強化人間は、高い学習能力があるため大抵の事が出来てしまう。今現在ネオ・ヒューマンは俺たちと既に故人のアルファを覗いたら9人居て、それぞれがノゲム博士の優秀な研究助手であり、高い戦闘スキルと戦術眼を持つ戦闘員でもある。

現に俺は研究所で実際に見たネオ・ヒューマン「ベータ」に、あの研究所で追いかけ回されている。確かにあの強さは異常であった。現実世界にアニメのキャラが出て来たような錯覚さえあった。目の前で人が殺されるの初めて見た。今思い出すだけで震えて来る‥‥‥。

そして今から1年前、ノゲム博士は計画を実行に移す。まずノゲム博士が行ったのは研究所の乗っ取りである。研究所の警備(監視?)に当たっていた部隊(規模は一個中隊程)を、たった9人のネオ・ヒューマンたちで制圧し、そして研究員や職員に自分の計画に賛同するよう脅迫したそうだ。無論賛同しない者は排除される。そしてあたかも研究は順調ですよと言わんばかりに高官たちの目を欺きつつ、計画を推し進めていたらしい。

こんなんで本当に高官たちを欺けるのかと疑問を持ってしまうのだが、如何やらその高官、博士と数十人の研究助手や職員、後は警備という名目の監視の部隊を要塞に送ったら後は報告だけ受けていただけらしい。

もっと関心持てよ! とも思ったが、抑々あの研究所は秘匿性を高めるために、通常の宇宙航路から大きく外れた場所にあって、エレメストの重力やらなんやらの影響を受けるため、行くとなると可なり面倒な処なのだそうだ。そんな処にお偉いさんが一々足を運ぶわけもなく、偶に部下の士官を寄越す程度のずさんな管理体制だったそうなのだ。

では、博士はこの後どういう計画を立てていたのかというと、軍のコンピューターにハッキングを仕掛けて核ミサイルを乗っ取ろうとしたそうなのだ。要するに核で世界を浄化(破壊)し、自分達の世界を構築するのが目的だった様だ。

イヤそんな事したら人が住めなくなるやん! って思ったんだけど、俺たち強化人間は放射能にも耐性があるから汚染された世界でも生きられるそうだ。嬉しいやら悲しいやら‥‥‥。

軍の杜撰な管理体制のお陰で、難なく計画の第1段階である研究所の乗っ取りを成功させたノゲム博士だったが、此処でとんだ裏切り者が現れた。リッチ博士だ。彼がナイザ博士を仲間に引き込み、ノゲム博士の計画を統一連合軍に密告したんだ。そしてあの脱出劇に繋がると言う訳だ。研究所は軍に爆破されてノゲム博士の計画は水泡に帰し、博士と9人のネオ・ヒューマン達は研究所の爆発に巻き込まれて死亡したのだった。めでたし、めでたし‥‥‥?

う~ん、これもB級映画感がある話だ。序に言うと実は博士は生きていて続編に続くって展開もある。大体続編て変な方向に行って面白くなくなるんだよな。ま、俺はそういった耐性もあるからいいんだけどね。

如何でもいい話は置いといてだ。ナイザ博士たちは何故俺たちを連れて行ったのか? ふたりは俺たちは助けたかったと言っていたけど、俺が思うに統一連合軍に計画の成果として俺たちを差し出すためかもしれない。たったふたりしかいないけど、俺たちはノゲム博士の洗脳を受けていないので差し出しても問題が無いと判断されたのだ。と考えるのが妥当だろう。もしかしたら軍はナイザ博士たちに俺たちと同じ強化人間を作らせようとしているのかもしれない。これもB級展開?

俺としてはちょっと複雑な気分だ。俺が目を開けた時、ナイザ博士は俺の事を天使と呼んでくれていた。理由としては俺と一緒に逃げた少女、そして結局一緒に逃げられなかったミューという強化人間の3人は、彼女の卵子が使われているそうなんだ。彼女は俺たちにとっては実際の母親なんだ。そんな彼女が俺たちを軍の手土産にしたとは思いたくはない。だけど科学者って自分の研究欲? 知識欲? って言うのかな? 其れを満たしたい人種なんだよな。俺としては、美人な博士がそんな事するとは思いたくないけどな。

あ、因みに精子の方はリッチ博士のモノらしいので彼は俺の父親だな。ふたりまだ20代で、あの研究所には交代要員として3年ほど前に来たばかりらしい。年齢も交代要員の中では一番下で、ここに来る前年まで大学生だったとか。だから青臭い正義感で大それたことをしたとも言える。

あと、20代其処らのふたりに俺くらいの歳の子供が居るのは可笑しいんだけど、俺たちってノゲム博士の研究のお陰で急成長させられてるんだと。あの水槽に入っていると1年で5歳位まで身体が成長するらしい。それで大体3年間、15歳位にまで成長したら水槽から出して、色々と教育されてノゲム博士の手駒になる訳だ。水槽から出れば成長スピードは普通の人間と同じになるらしい。

異世界に転生したらエライ設定の人間になっててホント吃驚したぜ。ただこれからはこのチートな能力を使って人生をやり直すんだ! 俺の第2の人生が今此処から始まるんだ!

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異星大戦記 プロローグ

無限に広がる黒き闇の世界。そこに瞬く無数の星々の煌めき‥‥‥。星の大海の中に沈み、その流れに身を任せ、何処までも続く暗き世界は、希望と絶望、興奮と恐怖に満ち溢れ‥‥‥。

 

「ハァ‥‥‥何言ってんだ俺‥‥‥」

 

俺は今、人型機動兵器のコックピット内でモニターに映る広大な宇宙を見ている、と言ってももちろん疑似体験、バーチャル・リアリティである。要するに俺はあるオンラインゲームの中にいるのだ。

そのゲームは、リアルロボットアニメの金字塔と呼ばれ、以降もシリーズ化されさまざまな媒体で活躍する人気シリーズとなっている。その初代アニメを元に開発されたオンラインゲームは、配信されるとそのリアルすぎる設定で話題を呼んで瞬く間に広がりを見せたのだ。

しかし、超話題のゲームだったが、配信から1ヶ月も立たずに利用者は半分にまで激減した。なんせこのゲーム、プレイ出来る時間が予め決められていおり、好きな時間に出来ないというデメリットがあるのだ。しかも、撃破されるとコンテニュー出来ずに再びゲームに参加するには翌日の配信時間まで待たねばならない、要するに戦死した者は復活し無いと言うのを再現しているのだ。

その他にも、攻撃の当たり処が悪ければ1発でゲームオーバーになる処や、武器の弾薬数やエネルギー、機体の推進剤(燃料)の積載量なども事細かに設定されている。よくある耐久値や威力が弱い武器は弾が無限などのゲーム特有の仕様が一切ないのである。徹底的にリアル志向(一部例外アリ)、運が悪ければ開始5分でゲームオーバーになったという噂も聞く、本格的な「VRサバイバル・シューティング・ゲーム」なのだ。

本編はアニメの主人公が所属する国家と敵対勢力の国家間による戦争の話で、アニメ本編で主人公が闘った戦場の他にも、外伝とうの関連作品からも戦場が選ばれていて、その数は50にも上るステージが用意されている。其処で主人公側、敵国側の二つの陣営に分かれて1ステージ5時間にも及ぶサバイバルバトルが繰り広げられる。

ゲーム内容は至ってシンプルだ。好きな陣営に所属し、その陣営が開発したユニットに乗って戦場を駆けまわって敵を撃破する。言ってしまえばそれだけだ。

まず、プレイヤーは自分が選んだ陣営の機体に乗って戦場で戦うのだが、一度所属した陣営に入ると、最後まで抜けられない仕様になっている。ただそれは後に修正され、ポイントを支払えば、陣営を変更する事も出来る。要するに敵への寝返りと言う訳だな。但し、陣営変更をすると、自分が使っていた機体が全部売却されてそのポイントだけを持って移る事になる。ただそれも変更され、今では1機だけ持って行けるように変更されている。これにはプレイヤー側の要望があったとされている。要は敵の機体を使えるのは鹵獲して使ってるっていう体で使用可能にしたって事だ。

ただ味方の機体に乗る敵がいると混乱する。一応識別信号があるため大丈夫、という事に成ってはいるのだが‥‥‥やはり時々間違える事がある。敵だと思ったら見方だったり、味方だと思ったら敵だったりと結構混乱する場面もある。ま、それもこのゲームの醍醐味と言ってしまえばそれまでだな。

プレイは配信が始まる午後7時から終了する午前12時までの5時間の間で、プレイヤーは何時でも好きな時間に参加出来る。しかし参加時間が短いと、クリア時の報酬ポイントが少ないと言うデメリットがある。ポイントは戦闘終了(途中終了でも)時にそれまでのプレイ時間によって得られるもので、より長い時間プレイしていればより多くのポイントがもらえる事になる。但し撃破されてゲームオーバーになると、獲得したポイントをすべて失うと言うシビアな設定になっている。そう言うのも人を選ぶゲームになった理由だろう。

そしてこのポイントだが、このゲームで得られるポイントは別名キャピタルと言って、一種のお金である。その使い道は、毎週月曜日に新たに追加されるステージへの購入資金である。これが足りないと次のステージに行けないので、同じステージでポイントを稼がなくてはならなくなる。下手をするとドンドン遅れる事にもなる。

主なポイントの稼ぎ方だが、まぁ当然だが敵の機動兵器や艦船、施設を破壊すれば得られる。ただ敵の撃破や施設の破壊をしなくても、ゲーム開始から終了まで逃げ隠れして生き残る事を1週間続けるだけでも次のステージ購入分のポイントは稼げる。但し、先程ポイントはお金といった様に、ポイントの使い道は他にもある。それは機体の改造や強化、新たな機体や武器などの装備品を購入する際に使う訳だ。

一応、機体の売却も出来るし、その際に今まで改造等で使った分のポイントも帰って来るので問題はない。ゲーム開始時に支給されるのは、「機動兵器、航宙(空)機、地上兵器(戦車など)、宇宙巡洋艦」の数種類だけなので、そいつで何とか戦場を駆けめぐって敵を撃破しながら最後まで生き残り、ポイントを稼いで次のステージへ進む。そしてステージが進めば、その頃に開発した新機体が購入欄に追加されて行くのである。

後は武器などの装備品も充実している。本来ならその機体が装備していない、或いは装備できない武器も、改造する事で装備させる事も出来る。そうやってドンドン自分のお気に入りの機体を見つけては改造と武装を施し、自分だけの機体で戦場を駆けるというのがこのゲームの醍醐味なのである。

そのリアル志向や各種緻密な設定のためか玄人受けするゲームであり、本物志向のマニアなどの一部に大うけしたゲームだ。無論俺もハマっている。

リアルに居場所がない俺の唯一輝ける場所、それが此処なのだ。

最初は5分とは言わないが1、2時間も闘っていると撃破されていた。大概撃破される理由は同じだ。敵を撃破しようと躍起になり過ぎたせいで、動きが直線的になった処を狙われるだな。如何も俺はこの手で撃破される事が多い。他には燃料の残量を気にしなきゃならないのに忘れてしまい、燃料切れで動かなくなった処を撃破された事もあったな。その時は、ゲームと分かっていても全く身動きが取れずに宇宙に漂う事になり、正直何も出来ない無力感にチョット怖かったな。しかも俺を見つけた奴、俺が動けないのを良い事に揶揄うように俺の周りをグルグル回ってから撃ちやがった。あの時は思わず「ひと思いの殺せぇぇぇ!!」って叫んじまったよ。

ただ、4回目に宇宙を漂った時に偶々同じ陣営の別プレイヤーに助けられて撃破されずに済んだ。あの時はゲームもにも拘らず、本当に感謝して仲間の大切さってものを教えられた気がしたよ。

だからかな、俺はその命の恩人(ちょっと大げさかもしれないがな)と共に戦う事にしたんだ。所謂ツーマンセルってやつだな。顔も名前も素性も知らないゲームでだけの相棒、ハンドルネームの「ライ」っていう名前だけしか知らない相手とコンビを組み、ある時は助け、ある時は助けられ、俺らは二人三脚で以降まったく撃破される事無くこのゲームを駆け抜けて行った。俺たちの活躍に他のプレイヤーも一目置く様になってよ、「青い2連星」なんて二つ名で呼ばれる様になったんだぜ。

二つ名の由来は俺が青色が好きで自分の機体を青一色に染めていたら、ライも俺も青色好きだからって機体を青くしてくれたんだ。青い機体が連携して攻撃して来るためその様な二つ名がついたって事だ。二つ名があるとアニメのエースパイロットの仲間入りしたみたいで気分が良かったな。アニメの世界に中に溶け込んだような感覚を得たよ。

だが今、この戦場には俺しかいない。ライの姿は無いんだ‥‥‥。

ゲームが配信されてから早1年が経とうとしている。そして最終ステージ、アニメでも最後の戦場にもなった宇宙要塞戦だ。俺はこのステージをひとりで闘わなければならない事になったんだ。

では何故この戦場にライがいないのかと言うと、それは前日の‥‥‥ひとつ前のステージでライがやられてしまったからなんだ。

それはライが家の事情で2日ほどゲームに参加出来なくて、最終ステージに行くためのポイントが不足した事が始まりだ。俺はすでにポイントが溜まっていたからライのサポートに回って彼奴にポイントを稼がせる事になった。

だがそんな時だ、問題が起こった。何故かライの奴が主人公機で参加したのだ。

主人公機、このアニメのタイトルにもなっている人型機動兵器の事で、特殊素材で出来た装甲のお陰で弱い実弾系武器での攻撃ではダメージを与える事ができず、それ故に初心者でも戦える機体だと一時期その機動兵器が戦場を闊歩していた時期もあった。

アニメ設定では高コストで量産できない機体で、開発者で主人公の父親が「量産されれば勝利は間違いない」と太鼓判を押すのに対して、「量産されればその高コストによって破産する」とまで言わしめた機体である。但し、実際に量産され活躍した量産機は主人公機のコストを抑えた廉価版であり、「開発者の言う量産とはその廉価版の事で、それが量産されたから勝利できた」という意見もある機体だ。ま、大概のアニメ作品の主人公機は特別だよな。

と言うのは置いといてだ。では、何故ライが主人公機で出て来た事が問題かと言うと、俺たちは量産機至上主義者だからだ。主人公機なんてハンデは要らねぇ! 男なら黙って量産機! の精神でこの戦場を闘い続けていたのに、あの時は裏切られた気持ちになったよ。

ただそんな俺に対し、ライの言訳が「ヒーローハンター(主人公機狩り)」をおびき寄せるためだと言ったんだ。

ヒーローハンター、このゲームも中盤に差し掛かった頃に噂され始めたプレイヤーの事だ。「ロッドバーロン」というハンドルネームで、搭乗機は勿論赤い。と言うか、主人公のライバルキャラが最初に乗っていた機体を使っていて、それを魔改造したらしく、本来ならビーム兵器を扱えない機体の筈なのに、魔改造のせいでビーム兵器も扱え、さらに機動性も限界以上に強化されていて、スピードは本家の3倍(あくまで噂)とまで言われる化け物級の機体なのだ。

そのロッドバーロンなのだが、如何も主人公機を狙って、と言うか、主人公機しか攻撃しない(その他の機体でも歯向かってきたら攻撃する)そうなのだ。だからヒーローハンターという異名を持つのだ。お陰で一時は戦場のプレイヤー機体の8割以上が主人公機と言われた序盤とは裏腹に、今では余り主人公機を見なくなった。それ位畏怖されたプレイヤーなのだ。まぁ、彼奴とステージが被らなければ遭遇する事は無いんだがな。

当然、量産機至上主義の俺たちには縁のないプレイヤーなのだが、如何もライは最近クリアが容易になって刺激が足りなくなった様で、それ故に刺激を求めてそいつと戦いたいと言い出したんだ。強い相手を求めての選択なのだが、其れとは別にもうひとつの理由もある。それは「二つ名(異名、通り名)」制である。これはただ単に周囲から羨望や畏怖の念から呼ばれているだけでは無い。結構ゲームに関係している。

と言うのも、周囲から二つ名で呼ばれる様になり、それがそれなりに知名度を持つと、その二つ名持ちプレイヤーには一種の懸賞金が賭けられるのだ。これはまるで昔の手配書の賞金首の様に、活躍すれば活躍するほど得られる賞金額(ポイント数)が増え続ける。だから敵勢力側のプレイヤーに付け狙われる事になるのだ。勿論、俺たち青い二連星も撃破すれば結構なポイントが得られる。だから敵側でプレイしているプレイヤーから結構狙われている。ま、俺とライのコンビネーションで返り討ちにしてるがな。

因みにフレンドリーファイアもこのゲームでは存在する。実際の戦場でも味方の弾丸や爆弾が当たったら死ぬからな。ただフレンドリーファイヤで撃破しても1ポイントにもならないから、フレンドリーファイヤなんてやっても意味がないんだ。

話が逸れたが、ロッドバーロンを誘い出して撃破出来れば相当なポイントが稼げる。ライはそう考えたのだ。俺もこの頃いなると張り合いが無くなったと実感してたからライの提案に乗ったよ、そいつがどれ程のプレイヤーであっても二人掛なら撃破できるってな。だが結果はもう分るだろ? 俺たちの惨敗って訳だ。ただこの時、ロッドバーロンは俺は撃破せずに見逃しやがったんだ。ライだけ撃破してそのまま戦場の中に消えちまった。自慢のスピードを生かしてあっと言う間にな。見逃したのは俺が量産機だった事と、ライが撃破されたショックで俺が戦意喪失したからだろう。彼奴の狙いはあくまでも主人公機だからな。

相棒を撃破され、戦場に取り残された俺の喪失感は相当なもんだった。これが仲間を失う事なのかって思ったね、実際はゲームだから翌日になれば何事もなくライはゲームに復帰して来るって分かってるけどよ、それでも‥‥‥なんて言ったらいいのかな、無力感? 絶望感? 悔しさ? そう言ったモノが綯交ぜになった感覚に陥ったんだ。

だからかな、俺は今日の配信でライを待たずに最終ステージに立ってる。ライの仇を打つ! そのためだけに量産機至上主義を捨てて主人公機で出撃したんだ。イヤ、もしかすると、俺の中でロッドバーロンを単独で撃破したらライより腕が上と証明できると思ったのかもしれない‥‥‥。

ま、何方にせよ俺は今、久しぶりにたった一人で戦場に立っているんだ。

‥‥‥いや、違うな、一昨日と一昨昨日の2日間ライは家の用事で参加しなかった。という事は、2日? イヤ1日ぶりか? まぁいいや‥‥‥。

 

 

☆彡

 

 

「はぁ~‥‥‥ちょっと早く入り過ぎたか‥‥‥」

 

ゲーム開始時刻より30分も前に入ったせいでかなり暇である。訳の分からない独り言を言うくらいに‥‥‥。

ただ顔を横に向けると、闇と光の点だけの世界に戦艦や巡洋艦などの宇宙艦船が整然と並んでいる。壮観な景色ってこう言うこと言うんだろうな。多分、全部モブなんだろうけど。プレイヤーもいるのかな? このゲーム、戦艦でもプレイできるんだ。やった事無いから如何いうプレイ方法なのかは分からないけどな。

そして正面に目を向けるとモニターに映し出される闇に浮かぶ異形の巨岩の塊‥‥‥俺たちが攻略すべき宇宙要塞の姿が見える。

本来だったら機動兵器のパイロットは宇宙空間が見える訳がないんだ。戦艦の格納庫でジッと出撃の時を待っているんだからな。けどゲームだから開始時刻まで一通り今回の戦場を見る事ができる。

すると唐突に目の前に一筋の閃光が伸び、そして幾つもの光が瞬き消えて行った。

 

「始まったか‥‥‥」

 

このゲームは開始時に各ステージ最初にチョットしたイベントを見る事ができる。戦闘に至るまでの演出ってやつだ。ただ自分が所属している勢力の一兵士の目線でしかそのイベントは拝めないから、相手側のイベントは内容が違う場合もある。

今回の最終ステージでは、負け込んだ敵国のトップが、味方側(俺目線での話)の総司令官に和平を申し込もうとして、敵国の実質的な指導者である息子に巨大なレーザー砲で焼かれるってイベントから始まるんだ。さっき俺が見た光の筋はそのレーザー砲の攻撃って事になる。俺の脳内にアニメのそのシーンが蘇る。

その時に、味方側も総司令官と共に艦隊の半数を失ってしまうんだ。多分それの演出なのだろうか? さっきから無線で色々と怒鳴り声やらなんやらが聞こえて来ている。

そして暫くして艦隊司令部から要塞への総攻撃命令が下された。ゲームの開始だ!

ゲームが始まると直ぐにモニターの映像が戦艦の格納庫内に変わり、オペレーターからの指示が来る。俺は格納庫内を進んでカタパルトに乗って出撃準備を整える。

 

「青い二連‥‥‥」

 

思わず「青い二連星のスカイ」って言いそうになった。何時も名乗ってからついな、今日はひとりだからハンドルネームのスカイだけで行く。

 

「スカイ、行きまーす!」

 

主人公機に乗ってるんだからこのセリフの方が良いだろう。本編では一回しか言ってないらしけどな。

カタパルトが勢いよく動き出し、戦艦から宇宙空間に飛び出した俺は、眼前に浮かぶ宇宙要塞へと向かう。要塞周辺の空間を縦横無尽に飛びまわり、モブだかプレイヤーだかを撃破しながら彼奴を探しまわる。

このゲームに参加した初期の頃は、5時間丸々参加したのに一機も撃破出来なかった事もあるが、今は結構撃破出来ている。これが馴れってものなんだろうか? 

俺は途中2度ほど母艦に帰って補給を受け、3度目の出撃の時だった。遂にあの赤い機体を発見した。俺は遭遇した時に弾薬や燃料が少ないと不味いので、結構早めに補給に帰っていて、その甲斐あって俺が奴に遭遇した時にはほぼ満タン状態だ。すぐさま俺は攻撃を仕掛けた。死角から一気に近付いてビームをぶっ放した! だが、彼奴はそれを運良く? 躱して逃げ出した。当然俺は追いかけた。初手で撃破出来なかったのは不味かったが、俺はまだ奴の後ろを取った状態で有利だ。俺とロッドバーロンは宇宙空間を縦横無尽に飛びまわる。

何時までも続くかに見えたロッドバーロンとの追いかけっこは、しかしそれは唐突に終わりを告げた。何度目かのビームを彼奴は機体を側転させて紙一重で躱しつつ、向きを変えて此方に正面を向けて来たのだ。彼奴は此方に向いたと同時にビームを乱射して来たので、俺は咄嗟にシールドでビームを防ぐ。しかし、ビームの盾ならまだしも、ただのシールドでビームを何発も受けとめる事は出来ない、俺はシールドと共に機体の左腕をも失ってしまう。

絶体絶命のピンチ、そう思った瞬間、突然俺と彼奴の間に無数のビームが通過する。見ると何処からともなくプレイヤーが大挙して押し寄せ、俺たちの戦闘に割り込んで来たんだ。如何やらヒーローハンターを撃破しようと集まった連中らしい。俺との戦闘に集中した処を討とうと言うハイエナみたいな魂胆なのだろう。なんせ彼奴の撃破ポイントは他の追随を許さないほど高額なのだ。チャンスがあればそれは狙いたくもなる。

本来だったら「邪魔するな!」と言いたいところだが、今はそれによって助かった事になる。感謝はしないがな。

さてこれから如何する? 左腕とシールドを失った状態で彼奴と渡り合えるのか? ここは一旦母艦に戻って修理と補給をするか? イヤ、そんなことをしたら彼奴を見失うかもしれない‥‥‥。

俺は迷った。まだ燃料とライフルの弾数には余裕があり、戦闘は続けられる。しかし損傷した状態で彼奴の勝てるのか? 無理をするか手堅く行くか、今すぐ判断しなければならない。何故ならあのハイエナ共が次々と彼奴に撃破されているのだ。戻るなら今が絶好のチャンスだ。もしハイエナ共を全員撃破されてから逃げても、彼奴の機動力ならすぐに追いつかれてやられてしまう。

 

「ん?」

 

俺が迷っていると、モニターの片隅で敵の一部が要塞を離れていく光景を目にする。

 

「暗殺されたのか⁉」

 

俺はその光景を目にして、要塞内に居る敵国の指導者が暗殺されるアニメお馴染みのイベントが発動した事を知る。撤退したのは彼の親衛隊で、暗殺の首謀者である妹に従うのを拒否して去って行ったのだ。このイベントを目にした俺は戦闘継続を決断した。多分これで要塞内に侵入する事ができる。そう判断したのだ。

彼奴と戦って思い知った。彼奴と宇宙空間で戦闘しても勝ち目はない。それだけ彼奴の機体の機動性と運動性はずば抜けているからだ。なら要塞内ならどうだ? 彼奴のご自慢の機動性も運動性も封じる事ができる。

俺はすぐさま要塞に接近する。要塞の砲撃が激しくなり、俺はそれをかいくぐりつつ要塞内への侵入を試みる。この頃になると敵の機動兵器が急に増える。指導者が温存していた機動兵器を妹が全機出したからだ。要するにプレイヤーだけでなくモブの機動兵器が一気に増えたのだ。しかし、俺はそんなの関係ないと、要塞から出て来たモブ機動兵器を撃破して要塞内に侵入する。

要塞内は入り組んでいるものの、迷路ではないため真っ直ぐ通路を進めば何処かに繋がっているので先へ進む。途中、モブが待ち伏せしていたが、それを難なく撃破してドンドン奥へと進んで行く。多分、彼奴も俺を追って中に入っている筈だ。要塞内に入る際に一回確認して彼奴がこちらに向かって来るのを見ている、主人公機を目の敵にしている以上、追って来ている筈だ。ただモブと挟み撃ちになる事だけは避けなければならないので、俺は強行軍で要塞の奥へと進む。お陰で途中モブにやられそうになる事もあったが、何とか無事に広い場所に出る事ができた。

 

「ここは機動兵器の格納庫か工廠かな?」

 

俺は開けた場所を見て回りそこが何なのかと推察していると背後からビームが飛んで来たので慌てて広場の中に逃げ込む。如何やら奴さんが来たみたいだ。

俺は広場の何だかよくわからないコンテナの様なモノの裏に身を隠し、彼奴が格納庫に足を踏み入れた時に狙い撃てるようにライフルを構えて待つ。流石に此処まで来るのにライフルのエネルギーの半分以上を使い果たし、あと十数発撃てるかどうかの処まで来ている。彼奴が姿を現した処を狙い撃って終わらせるのが俺の狙いだが、奴だって馬鹿じゃない、そんな事は承知の上だろうから何かしらのフェイントを使って入って来るだろう事は予測される。要はそれにひっからずに彼奴を撃破出来れば俺の勝ちだ。もし失敗したら白兵戦に移るしかない。俺は緊張の糸を張り詰めて彼奴が来るのを待った。

だが来ない。1分…2分……5分たったが奴は入って来ない。一分一秒がこんなにも長く感じた事が無いってくらい長い時間を待った気分だが、実際はまだ5分しかたっていない事が分かって驚いた。まったく現れない彼奴に俺のイライラが募り、緊張の糸が切れてしまった。

 

「何やってんだ彼奴!」

 

俺はしょうがなく危険を承知でコンテナの裏から出て入口の方に向かう。もし奴が入口の向こうで俺みたいに待ち伏せしていたら、身を晒した瞬間撃破される。俺はそれを警戒し、そこいらに浮かんで漂っている何かの残骸を手に取って入口の方へ投げる。しかし反応が無い。これは困った、この反応はそこに居ないからなのか、或いは引っ掛からなかったのかどっちだ? 結局俺は自身の目で確かめるしかなくなり入口まで近付く。壁際に隠れ、俺は出ると同時にビームをぶっ放して向こう側に移る。そういう確認方法を取る事にしてさっそっく行動に移す。

大きく深呼吸を繰り返し、恐怖と緊張でバクバクの心臓を落ち着ける。ただのゲームってのに大袈裟だよな。自分でもそう思う。でも、それだけ俺はこのゲームにのめり込んでいるって証拠でもある。しかも、ここまでに結構プレイヤーやモブを撃破してるからポイントが溜まってるんだ、それを失いたくないって気持ちもある。そしていざと思った瞬間、背後からビームが飛んで来て機体の頭部の一部を焼いた。俺はとっさにその場から飛びずさると共に、背後に向きを変える。すると、モニターに赤い機体が映し出された。

 

「彼奴だ! クソ、迂回してたのか!」

 

俺はすぐさま応戦して格納庫で撃ち合いが始まるが、奴は急に撃って来なくなる。如何やらライフルのエネルギーが切れた様だ。チャンス到来に俺はこのまま勢いに乗って奴を仕留めようとビームを発射する。しかし格納庫には障害物がいくつもあって、彼奴はそれらをうまく遮蔽物に使って難を逃れつつ俺に近付いて来た。

 

「あ、クソ!」

 

ビームが全く当たらないイライラと、こっちもいよいよライフルのエネルギーが切れかかってきて、余り無駄弾を撃てなくなってライフルの銃口を向けても容易に引き金を引けなくなった。彼奴はそれを感じ取ったのか、白兵戦用武器を取り出して真っ直ぐ此方に向かって来た。

 

「剣⁉ お前は斧だろが‼」

 

本来ビームの使えない機体である奴の白兵戦用武器は刃が発熱する斧なのだが、魔改造のお陰でビームの剣が使える様だ。

奴は剣を構えて俺に向かって突進して来る。ただ真っ直ぐ此方に来たので、俺はライフルを真正面に向けて全弾撃ち尽くす覚悟で引き金を引く。すると、彼奴はビームが放たれると同時に、持っていた弾切れライフルを投げつけて来た。俺の目の前でビームとライフルがぶつかり爆発する。奴はその爆風を目くらましに一気に距離を詰め、俺の眼前でビームの剣を振り上げる。

 

「クッ⁉」

 

俺は咄嗟にライフルを手放して後方へ下がる。すると、奴が振り下ろしたビームの刀身が俺の手放したライフルを真っ二つにし、小さな爆発を起こす。それを振り払うように奴はビームの剣の切っ先を俺に向けてまた突進して来る。

 

「舐めるなァァァ!!」

 

俺は奴のビームの剣を紙一重で躱すと、直ぐに忍者刀の様に背中に装備されている白兵戦用武器を手にする。剣を抜いた勢いのまま、俺は突進を躱された事で勢い余って通り過ぎた彼奴を背後から斬りつける。が、斬りつける瞬間に彼奴が振り返りつつ俺の機体の胴体にビームの剣を叩きつけた! 俺のビームの刀身も奴の肩に当たり、その熱で人型機動兵器の装甲を溶断して行くが、奴の剣も俺の胴体を溶断して行く。

互いのビームの剣が互いの機体を溶断した次の瞬間、俺の画面が真っ暗になってしまった。

そう、ゲームオーバーだ‥‥‥。

 

 

☆彡

 

 

「クソ!」

 

俺は真っ黒になった画面に向かって悪態を付いたが、ライとコンビを組んで以来、久しく見ていなかったこのゲームオーバーの画面は、相変わらず真っ黒で素っ気ないままだった。元々コンテニューが無いためただの真っ黒な画面にしかならない。まるで死んだらこうなりますとでも言いたげで、俺は正直最初にこの画面を見たとき怖かった記憶がある。

俺は負けたのだろうか? ただ俺は確かに彼奴の機体をビームの剣で溶断していた。なら相打ちか? まぁ、最後まで切った処は見れなかった。でも、あれだけ切り裂けば機体が爆発してもおかしくない。という事は、相打ちという事になる。ただ相打ちでは駄目なのだ。俺が稼いだポイントは‥‥‥。

 

「ゼ~ロ~‥‥‥か」

 

俺はドッと疲れが出るのを感じた。一応は仇は取ったのかな? 相打ちだけど‥‥‥。

 

「あーあ、明日も仕事だしもう寝るか‥‥‥その前に風呂は入るかな」

 

俺は明日に備えて風呂に入って寝ようと思った。しかし、急激に睡魔に襲われる。

 

「アレ、如何した‥‥‥そういやここんところ結構夜更かししてて寝る時間切り詰めてたな‥‥‥でも風呂くらいは入らないと会社の女どもが‥‥‥」

 

俺は睡魔に抗おうとしたが、重い瞼が言う事を聞かず、目を開くのを放棄した俺は闇の中に落ちてしまった‥‥‥。

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