怠惰に創作

細々と小説の様なものを創作しています。設定など思い付いたように変更しますので、ご容赦ください。

犬を連れた独裁者 FILE2

現皇帝であるノウァは、軍部(北部方面軍)が起こした7月事件によって身分を隠してアフラに亡命せねばならなくなった。 しかし、そこでの隠れた生活に疲れた彼女は、護衛役の近衛士官の息子であるエアニスと恋仲になり、しかも子供まで身籠ってしまう。この…

犬を連れた独裁者 FILE1 

ゲーディア皇国軍総軍司令長官サリュード・アーベル・テオバルド・アルフレート・ネクロベルガー総帥は、現皇帝4代目ノウァの摂政として、皇国の実質的な指導者となっている人物だ。 そんなネクロベルガーは、国家元首である皇帝以上の権力を持っていると言…

H計画とミシャンドラ学園 FILE9

幾つかのクラブの見学を終えた俺は、人工的に演出された夕暮れを観賞しながら本館へと戻る。 時間的に夕食時と言う事もあり、学園長代理のレッジフォードから「学園の食堂でディナーでも」と言われ、特に何処かで夕食を摂ろうと言った予定も無かったので、そ…

H計画とミシャンドラ学園 FILE8

応接室から出た瞬間、レッジフィールド学園長代理が振り返って何か含みのある笑顔を俺に見せて来た。 何だろう? とっても不気味な感じがする。俺は、取りあえずその不気味な笑みの真意を確かめる事にした。 「な、何ですか?」 「いえ、お時間はどの位ある…

H計画とミシャンドラ学園 FILE7

人間には様々な能力や才能がある。 それらは全ての人間の中に秘められたものであり、諸君ら一人一人にも才能はあるのである。 だがしかし、それらはただ単に自然発生するものでは無い、自らが行動し、経験し、学んだ先に備わるものである。 そして自身にどの…

H計画とミシャンドラ学 FILE6

俺は学園長代理のレッジフィールドに連れられ、高等部1年1組の教室を見学した。見学と言っても教室に入ってでは無く、廊下側の窓から中を見ると言った感じだ。 教室は流石50人の生徒が入れるだけあって広い。机が規則正しく並べられていて、生徒たちが座…

H計画とミシャンドラ学園 FILE5

第1102研究所での「H計画」の取材を終えた俺は、クリミヨシ博士のご厚意に甘えて予約してもらったホテルで一夜を明かす。 一応ホテルに着いた時に、事の経緯をクエスにメールはしておいた。流石に取材と言う事で彼奴からも許可は貰ったし、このホテルの…

H計画とミシャンドラ学園 FILE4

クリミヨシ博士は何の躊躇も無くH計画について語りだした。一応公けになっているから大丈夫なんだろうけど、あのエッグと言う人工子宮なる機械を見てしまうと本当に公けなのかと疑問に思う。しかも今語っているクリミヨシ博士は、友人だったオームズ博士か…

H計画とミシャンドラ学園 FILE3

「ここが、H計画の心臓とも言えるラボです」 クリミヨシ博士が俺を案内した場所は、水平型エスカレーターで移動している時に見かけた番号が振られたドアのひとつだった。博士のオフィスから一番近い扉で、白い扉には「10」と黒字で番号が振られている。扉…

H計画とミシャンドラ学園 FILE2

「何ィィィ!? H計画が少子化対策だと!?」 あまり広くもない雑誌社のオフィスにクエスの怒鳴り声が響く。突然の事で耳を塞ぐ余裕もなく、直に彼奴の怒鳴り声を聞いた俺の耳がキーンとしている。 「うるせぇなぁ。鼓膜が破れるだろ」 何故クエスの奴がこ…

H計画とミシャンドラ学園 FILE1

「言っておくが、あくまでお前に協力するのは私にとってもメリットがあると判断したからで、この事は秘密だ。イイな!」 強い口調で言ってはいるが、周りにいる店員や客に聞かれない様にと、ブルジューノ捜査官は小声で釘を刺して来た。 俺は「ハイハイ分か…

Z計画 FILE10

ヴァレナントからの命令で、私がブレイブ・オルパーソンなる人物を監視して早1か月が経った。 この1ヶ月間の彼の主な行動は、自宅と勤務先の雑誌社を往復するだけで、あとは自宅近くでの食事や買い物、雑誌社近くにあるシガークラブ「R&J」で同僚と酒を…

Z計画 FILE9

皇国親衛隊情報本部警察局刑事部第1捜査課3班。1年前に私、マリア・ブルジューノが配属された部署だ。班の人数は私を含めて5名である。 皇国では、高等学校を卒業した男子は2年間の兵役訓練を受けなけらばならない。兵役訓練を受けなくてもいいのは大学…

Z計画 FILE8

「警察局って‥‥‥。親衛隊?」 「あゝそうだ」 アパートの前で声を掛けて来たスーツ姿のクール系女子が警察局、所謂親衛隊隊員だと名乗った瞬間、俺の頭の中は真っ白になった。 ヤバい、ヤバい、俺また捕まるのか? 嘗て強引な取材を繰り返して不法侵入で警察…

Z計画 FILE7

丸一日以上キャンピングカーを走らせ、俺たちは目的地に到着した。と言っても、正確にはここからまだ少し行かなければならない。要するに立ち入り禁止区域近く、自動運転で行けるギリギリの処と言う訳だ。ここからはキャンピングカーに搭載されている4輪バ…

Z計画 FILE6

俺たちは旧刑務所施設の立ち入り区画から少し離れた場所を目的地に設定し、そこまで自動運転でキャンピングカーを走らせる。 その間、俺とクエスは観賞ルームで映画鑑賞と洒落込んだ。 リコは如何したって? 万が一の事を考えて運転席にいるよ。ついさっきま…

Z計画 FILE5

砂と岩が広がる荒野を俺は車の窓からボンヤリと眺めていた。 見る人によっては岩の形や大きさ、砂の文様の違いなどでこの荒涼とした荒野の景色を楽しめる人も居るらしいが、俺にはそう言った趣味趣向は無い。だから‥‥‥。 「おい、詰まんねぇぞ!」 俺はお門…

Z計画 FILE4

ワッカートから刑務所コロニーでの生活の話を聞く前に、ゲーディア皇国の警察組織に付いて軽~く説明しておこうと思う。 まず最初に皇国における警察組織のトップが「皇国中央警察本部」である。施設は首都ミシャンドラの地下1階層にあり、長は「中央警察本…

Z計画 FILE3

レメゲウム採掘場に就職して1週間がたった。 クエスとの約束は一週間だったから、今日の労働が終わると此処ともおさらばである。明日は彼奴の雑誌社に行ってここで得た情報を話す‥‥‥まぁ、これと言った情報を得られてないんだけどな。2110ヶ所もあるネ…

Z計画 FILE2

翌朝、俺は昨晩早く就寝した事と、ハウスキーパーへの対処法を見つけた事への安心感から気持ち良く起きる事が出来た。 「いや~、今日も一日頑張るとするか~」 『頑張ッテネ。ア・ナ・タ』 朝一番にハウスキーパーの声を聴いてテンションが少々下がったが、…

Z計画 FILE1

俺はクエスの依頼を受け、とある鉱山労働に従事する事となった。 それもこれも、今は亡き3代皇帝サロスの残した3大闇計画なるもののひとつ、「Z計画」について調査するためである。 俺は雑誌社からあの五月蠅いアパートに戻り、翌日に役所に向かった。当…

鉱山労働と就職活動

俺は応接用の長ソファーに座り、この雑誌社の経理などの事務作業一般を任されているセイヴァこと「シェルク・セイヴァ」の尋問を受けている。以前、俺とクエス達がシガークラブ「R&J」で初めて出会った時に話していた「私レズだから」と言って、クエスの…

新居と就職活動

俺は就職活動の一環として仕事をボイコットしていたディック・クエスに代わり、先輩にあたる筈なのに、なぜか後輩になったリコ・ヘイドと共に皇国で生活するための拠点となるアパート「M-078」号に来ている。 そこには事故物件扱いされている部屋があり…

事故物件と就職活動

携わっていたゲーディア皇国の歴史取材が打ち切りとなり、エレメストへ帰ろうとしていた矢先、ひょんな事から俺はゲーディア皇国に住む事になった。取りあえず役所に行って皇国の国民権と、第14都市レラジエ・シティの市民権を気が抜けるほど呆気なく習得…

打ち切りと新生活

「打ち切り! 打ち切りってどういう事だ!」 ゲーディア皇国の歴史調査で第4惑星に来て早2か月が経とうとしていた頃、俺にこの依頼を持って来た元同僚から連絡があった。彼奴の連絡は俺が皇国に来た時に着いた事を知らせるためと、1ヶ月程経った頃に取材…

3代皇帝と人権剥奪法

宇宙暦179年4月1日。この日、結成当時から混迷を続けていた軍事政権が解体された事が皇国国民に告げられた。これについては皇国民の反応は小さかった。首都内で権力闘争に明け暮れていただけの軍事政権は、国民からの印象が薄かったのだあろう。 しかし…

「とある記者の取材録」人物紹介3

【歴史上の人物】 「トマス・ロイナント」宇宙暦117~179 ゲーディア皇国国防軍の将軍。書中の階級・中将⇒元帥。 パウリナ条約反対派の急先鋒である北部方面軍司令長官ラード・ゲネル大将の部下で、第1軍団長としてクーデター計画に参加する。しかし…

3代皇帝と軍事政権 FILE4

ロイナント事件に使われた名称「ロイナント」は、軍令本部総長トマス・ロイナント上級大将の事である。では何故この様な事件が起こったのか、これからそれをかいつまんで説明して行く。 ロイナント事件は、宇宙歴178年11月~179年2月末まで続いた一…

3代皇帝と軍事政権 FILE3

軍事政権が設立した直後から瞑想を続けている裏で、今回の主人公でもあるサスロ帝は一体何をしていたのか? これに付いては最初の時点では何もしていなかったと言ってもいいだろう。彼は軍事政権の傀儡であり、皇帝と言っても全くと言ってイイくらい発言権が…

3代皇帝と軍事政権 FILE2

7月事件によって成立した軍事政権ではあったが、蓋を開ければ「パウリナ条約」の破棄か継続かで対立が起こり、国内統治と言った点では全く機能しない体たらくぶりを晒す事となった。この事態が余り公けにならなかったのは、民衆が軍事政権に対して無関心だ…