俺とブルジューノ捜査官は、「アスモデ・シティ」のミシャンドラ行きの短距離シャトルに乗りこむ。俺にとっては今日3度目の首都である。 ミシャンドラの第2宇宙港に到着すると、そこから都市部に繋がる通路を走る専用のトレインを使って直接地下第3階層へ…
ワシがキンゲラ議員と始めて会ったのは、今から十‥‥‥一、二年程前の事だ。当時はサロス陛下の親政が始まって3、4年ほど経っていたかな? 当時は皇帝陛下を支えるヴァサーゴ大公家がこの世の春を謳歌していた頃だった‥‥‥。 あの時も皇都ミシャンドラ・シテ…
事の起こりは昨日、私が何時もの様に警察局に出勤た時だ。 「おはようございます」 「おはー」 「はよー」 「ようー」 何時もの様に私は先輩方との挨拶を済ませて席に着く。挨拶に付いては何時もこんな感じだ。 先輩方は下士官で、私は士官なので一応上官に…
貴族に付いては後日と言う事にして、次はネクロベルガー総帥の国内外での評価に付いて話そうと思う。 先ずはゲーディア皇国内での評価だ。 専制国家の支持率など信用出来ないと思うかもし得ないが、それは国家の元首である皇帝に関してだけで、その他の国家…
ネクルベルガー総帥は、様々な仕事を兼任してはそれを自身が任命した代理の者に押し付け‥‥‥失礼、任せている。だが、そうなると、彼自身は一体如何いった仕事を行っているのか? と言う興味が湧く。ネクルベルガーの私生活や職務に付いては基本極秘扱いなの…
ネクロベルガー総帥は、ゲーディア皇国一、イヤ、世界一の金持ちだと言われている。その所以であるが、それは彼が皇国の資源と経済を握っている事が挙げられる。 以前にもチョクチョク話したが、ネクロベルガーは皇国の資源開発や経済発展に対してその強大な…
ゲーディア皇国国防軍総軍司令長官ネクロベルガー総帥。彼は元々孤児だったそうだ。 彼の両親、要は育ての親であるドレイク・ネクロベルガー元帥(当時は中将)とその夫人であるサマンサには子が無く、そのため彼らは親を亡くした孤児たちの支援活動を行って…
皇居周辺での首都内防衛隊とクーデター軍との戦闘、「皇居の戦い」が注目されている「サロス帝暗殺事件」であるが、当然ながら他の場所でも戦闘は行われている。 クーデター軍の一部が皇居目指して攻め寄せる中、地下第1階層の行政区画と地下第2階層の軍行…
ゲーディア皇国歴代皇帝の歴史取材をしている時から、ネクロベルガー総帥には興味があった。だから取材が打ち切りになったタイミングで暇を見ては色々と調べていた。 その中でも、ネクロベルガーと切っても切れない組織である「親衛隊」に付いては紹介して行…
現皇帝であるノウァは、軍部(北部方面軍)が起こした7月事件によって身分を隠してアフラに亡命せねばならなくなった。 しかし、そこでの隠れた生活に疲れた彼女は、護衛役の近衛士官の息子であるエアニスと恋仲になり、しかも子供まで身籠ってしまう。この…
ゲーディア皇国軍総軍司令長官サリュード・アーベル・テオバルド・アルフレート・ネクロベルガー総帥は、現皇帝4代目ノウァの摂政として、皇国の実質的な指導者となっている人物だ。 そんなネクロベルガーは、国家元首である皇帝以上の権力を持っていると言…
幾つかのクラブの見学を終えた俺は、人工的に演出された夕暮れを観賞しながら本館へと戻る。 時間的に夕食時と言う事もあり、学園長代理のレッジフォードから「学園の食堂でディナーでも」と言われ、特に何処かで夕食を摂ろうと言った予定も無かったので、そ…
応接室から出た瞬間、レッジフィールド学園長代理が振り返って何か含みのある笑顔を俺に見せて来た。 何だろう? とっても不気味な感じがする。俺は、取りあえずその不気味な笑みの真意を確かめる事にした。 「な、何ですか?」 「いえ、お時間はどの位ある…
人間には様々な能力や才能がある。 それらは全ての人間の中に秘められたものであり、諸君ら一人一人にも才能はあるのである。 だがしかし、それらはただ単に自然発生するものでは無い、自らが行動し、経験し、学んだ先に備わるものである。 そして自身にどの…
俺は学園長代理のレッジフィールドに連れられ、高等部1年1組の教室を見学した。見学と言っても教室に入ってでは無く、廊下側の窓から中を見ると言った感じだ。 教室は流石50人の生徒が入れるだけあって広い。机が規則正しく並べられていて、生徒たちが座…
第1102研究所での「H計画」の取材を終えた俺は、クリミヨシ博士のご厚意に甘えて予約してもらったホテルで一夜を明かす。 一応ホテルに着いた時に、事の経緯をクエスにメールはしておいた。流石に取材と言う事で彼奴からも許可は貰ったし、このホテルの…
クリミヨシ博士は何の躊躇も無くH計画について語りだした。一応公けになっているから大丈夫なんだろうけど、あのエッグと言う人工子宮なる機械を見てしまうと本当に公けなのかと疑問に思う。しかも今語っているクリミヨシ博士は、友人だったオームズ博士か…
「ここが、H計画の心臓とも言えるラボです」 クリミヨシ博士が俺を案内した場所は、水平型エスカレーターで移動している時に見かけた番号が振られたドアのひとつだった。博士のオフィスから一番近い扉で、白い扉には「10」と黒字で番号が振られている。扉…
「何ィィィ!? H計画が少子化対策だと!?」 あまり広くもない雑誌社のオフィスにクエスの怒鳴り声が響く。突然の事で耳を塞ぐ余裕もなく、直に彼奴の怒鳴り声を聞いた俺の耳がキーンとしている。 「うるせぇなぁ。鼓膜が破れるだろ」 何故クエスの奴がこ…
「言っておくが、あくまでお前に協力するのは私にとってもメリットがあると判断したからで、この事は秘密だ。イイな!」 強い口調で言ってはいるが、周りにいる店員や客に聞かれない様にと、ブルジューノ捜査官は小声で釘を刺して来た。 俺は「ハイハイ分か…
ヴァレナントからの命令で、私がブレイブ・オルパーソンなる人物を監視して早1か月が経った。 この1ヶ月間の彼の主な行動は、自宅と勤務先の雑誌社を往復するだけで、あとは自宅近くでの食事や買い物、雑誌社近くにあるシガークラブ「R&J」で同僚と酒を…
皇国親衛隊情報本部警察局刑事部第1捜査課3班。1年前に私、マリア・ブルジューノが配属された部署だ。班の人数は私を含めて5名である。 皇国では、高等学校を卒業した男子は2年間の兵役訓練を受けなけらばならない。兵役訓練を受けなくてもいいのは大学…
「警察局って‥‥‥。親衛隊?」 「あゝそうだ」 アパートの前で声を掛けて来たスーツ姿のクール系女子が警察局、所謂親衛隊隊員だと名乗った瞬間、俺の頭の中は真っ白になった。 ヤバい、ヤバい、俺また捕まるのか? 嘗て強引な取材を繰り返して不法侵入で警察…
丸一日以上キャンピングカーを走らせ、俺たちは目的地に到着した。と言っても、正確にはここからまだ少し行かなければならない。要するに立ち入り禁止区域近く、自動運転で行けるギリギリの処と言う訳だ。ここからはキャンピングカーに搭載されている4輪バ…
俺たちは旧刑務所施設の立ち入り区画から少し離れた場所を目的地に設定し、そこまで自動運転でキャンピングカーを走らせる。 その間、俺とクエスは観賞ルームで映画鑑賞と洒落込んだ。 リコは如何したって? 万が一の事を考えて運転席にいるよ。ついさっきま…
砂と岩が広がる荒野を俺は車の窓からボンヤリと眺めていた。 見る人によっては岩の形や大きさ、砂の文様の違いなどでこの荒涼とした荒野の景色を楽しめる人も居るらしいが、俺にはそう言った趣味趣向は無い。だから‥‥‥。 「おい、詰まんねぇぞ!」 俺はお門…
ワッカートから刑務所コロニーでの生活の話を聞く前に、ゲーディア皇国の警察組織に付いて軽~く説明しておこうと思う。 まず最初に皇国における警察組織のトップが「皇国中央警察本部」である。施設は首都ミシャンドラの地下1階層にあり、長は「中央警察本…
レメゲウム採掘場に就職して1週間がたった。 クエスとの約束は一週間だったから、今日の労働が終わると此処ともおさらばである。明日は彼奴の雑誌社に行ってここで得た情報を話す‥‥‥まぁ、これと言った情報を得られてないんだけどな。2110ヶ所もあるネ…
翌朝、俺は昨晩早く就寝した事と、ハウスキーパーへの対処法を見つけた事への安心感から気持ち良く起きる事が出来た。 「いや~、今日も一日頑張るとするか~」 『頑張ッテネ。ア・ナ・タ』 朝一番にハウスキーパーの声を聴いてテンションが少々下がったが、…
俺はクエスの依頼を受け、とある鉱山労働に従事する事となった。 それもこれも、今は亡き3代皇帝サロスの残した3大闇計画なるもののひとつ、「Z計画」について調査するためである。 俺は雑誌社からあの五月蠅いアパートに戻り、翌日に役所に向かった。当…