怠惰に創作

細々と小説の様なものを創作しています。設定など思い付いたように変更しますので、ご容赦ください。

異星大戦記「コロニー戦役~エレメスト降下作戦」

【コロニー戦役(宇宙暦197年9月20日~10月5日)】

9月15日、新生アフラ共和国の樹立の裏で、ゲーディア皇国軍は次なる一手に出ていた。それはエレメスト統一連合政府との講和である。

ゲーディア皇国は、開戦よりも前にエレメスト統一連合との戦争の可能性を予測しており、予め戦闘のシミュレートをしていたのである。そのシミュレートの結果を基に、皇国参謀本部は戦争計画を立案し、統一連合軍が遠征艦隊を派遣すると、その最新の戦争計画を基に宣戦布告したのである。

その戦争計画の大まかな概要は、アンリ・マーユ要塞での遠征艦隊迎撃に始まり、それに伴い目の上のたん瘤であったヘキサスの占領、ホールⅠ、ホールⅡの確保、そしてアフラの占領と独立であった。このすべてを達成した皇国は、最早無用な戦闘を避けるべく統一連合政府に講和を打診したのだ。その際に使者として送られたのが、アフラ占領の際に多くのキッポス政権高官が逃走を図る中で、ひとりアフラに留まって捕虜となった副首相の「タリス・プロポンツ」である。皇国は彼を家族と共に使者として統一連合に向かわせたのである。

一行は16日に統一連合軍の駆逐艦で、目だった損傷も無いのに何故か修理ドックに係留されていた「DY²-777」に乗って使者の任に赴く。統一連合軍の宇宙要塞アル・マティに到着した。プロポンツによって皇国に講和の意思がある事を知った統一連合政府は、すぐさま緊急の議会を開く。しかし、そんな統一連合を嘲笑うかのように、皇国軍は次なる動きに出たいたのだった‥‥‥。

 

『L2コロニー侵攻(宇宙暦197年9月20日~21日)』

9月17日から開かれた統一連合の緊急会議は昏迷を極めていた。皇国との講和も止む無しとする穏健派に対し、軍部やそれに近い政治家たちは徹底抗戦を訴え、激しい議論は平行線を辿って収拾がつかなくなっていた。抗戦派の議員からは、皇国との講和はアフラの独立を容認した事になり、それを認めれば国内に燻る分離主義者たちを刺激すると反対したのである。

エレメスト統一連合は、結成から既に2世紀以上の年月が経っており、その長さ故に国民生活は深刻ではないものの、長い不況と停滞によって活気が失われていた。そのため統一連合政府の政策に不満を持つ者も多く、嘗ての民族国家を復活させようとする運動も時折り行われていたのだ。特にアフラ紛争(4年戦争又はアフラ独立戦争)以降は、アフラ解放戦線軍の残党のテロだけではなく、エレメスト内の分離主義勢力によるテロ事件や独立国家樹立が相次ぎ、その度に統一連合軍が制圧に動いているのだ。そのため統一連合政府としては、おいそれとアフラの独立を認める訳にもいかず、かと言ってこのまま戦争を続ければ、そう言った分離主義勢力と皇国が結び付いてしまう恐れもあるため、統一連合政府としては頭の痛い状況となっていたのだ。

そんな決まらない会議を続ける中、20日に軍情報部からある情報がもたらされ、その事で会議は一気に抗戦派に傾く事になる。その内容は「アフラに駐留する皇国軍艦隊に動きがあり」というモノであった。この情報により軍部は、皇国が講和をチラつかせつつ裏では戦争継続のための準備を進めていると主張、これが追い風となって統一連合政府も戦争継続の流れになったのである。表面上は講和を受けるか検討している素振りを見せつつも返答を先延ばしにし、裏では戦闘継続のための準備に取り掛かったのだ。

一方の皇国では、万が一、統一連合政府が講和を受け入れなかった時のための計画も事前に用意されていた。そのため皇国軍は講和を望みながらも、戦争継続のための準備を整え、講和が成されなかった時に作戦を速やかに実行するために動いていたのだ。その事が結果的に統一連合政府に継戦の意思を固めさせる事になったのだが、統一連合が戦争継続の意思が固まった20日には皇国軍情報部もその情報を得ており、エレメスト統一連合政府に講和の意思なしと判断して作戦を本格的に実行に移したのである。

皇国軍の次なる目標は要塞攻略である。当時エレメスト圏の3ヶ所のラグランジュポイントにはそれぞれにコロニー群があり、そこを防衛(監視?)するために統一連合軍の宇宙要塞(鎮守府)が置かれていた。その宇宙要塞を攻略するべく、皇国軍はコロニー群攻略作戦を実行に移す。

皇国軍がまず攻略に選んだのが、宇宙要塞「アーシャ」である。L1コロニー群を守るこの要塞を最初に選んだ理由は、ここの住人の多くが統一連合からの独立志向が強い事である。嘗て最も統一連合からの独立志向が強かったアフラであるが、先の戦争で敗北し、キッポス政権の下、その独立志向は抑え込まれていた。その甲斐あってか? 新生アフラ共和国が独立宣言をした頃には、昔の様な独立を希求する住人は少なくなっており、逆に独立に困惑する住人が多かったのだ。それに取って代わるように、L1コロニー群の住人が統一連合からの独立の思いを強く持つ様になっていた。

事の起こりは10年程前にとある思想家が現れた事が切っ掛けだった。彼の訴える言葉にL1コロニー群の住人は共感し、徐々にその規模を増大させ、遂には独立運動を始めるほどになったのである。結局、その思想家は3年前に当局によって逮捕される事になったのだが、彼が逮捕されてもL1コロニー住人の熱意は冷めることなく、むしろ燃え上がったと言う訳である。今では事ある毎に各コロニーで大規模な抗議デモが起こるようになっていた。当然15日のアフラ独立宣言は彼らの独立心に火をつけ、普段ならば抗議デモに留まっていた彼らも、遂にデモから暴動へとエスカレートして治安維持部隊と衝突するようになっていた。

この衝突で多くの死傷者と逮捕者を出したものの、住人は怯む事無く暴動はより一層激しさを増したのである。そんな混乱の中にあるL1コロニー群を攻略すべく、皇国宇宙艦隊はアーシャに向けて侵攻する。

一方の統一連合軍は、皇国軍の次なる目標が、目下住人の暴動に手を焼いているL1コロニー群と宇宙要塞アーシャであると予測し、アフラ会戦に敗れた迎撃艦隊の再編を急がせる。遠征艦隊の残存艦艇で組まれていた特別艦隊は解体され、先のアフラ会戦で損害が出ていた第1、第11艦隊の補強として編入されたのである。さらに宇宙要塞「ラクシャス」からは第8艦隊が援軍として派遣され、着々と迎撃態勢を整えていった。

しかし、此処で又しても統一連合軍は皇国軍に裏をかかれる事になる。皇国軍のアーシャ攻略はフェイクであり、彼らの本命が宇宙要塞「アル・マティ」ひいてはL2コロニー群である事が発覚したのである。アーシャに向かっていた皇国宇宙艦隊の第1艦隊は囮であり、その他の第2、第3、第4、第5、第6艦隊は全てアル・マティへと侵攻を開始していたのだ。迫る皇国の大艦隊に対して、アル・マティ要塞に駐留していた戦力は第3艦隊のみであり、要塞の防御力を頼みにしても防ぐ事は難しいと判断したアル・マティ要塞司令官「ナンシィ・K・セルケイン」少将は、要塞を放棄して皇国艦隊が来る前に第3艦隊と共にラクシャス要塞に撤退してしまったのだ。

翌21日にアル・マティ要塞に到着した皇国艦隊は蛻の殻の同要塞を占領してすぐさまL2コロニー群の各コロニーに占領部隊を派遣する。統一連合軍に見捨てられる形で取り残された各コロニーの治安維持部隊は既に戦意を喪失しており、何の抵抗を見せる事無く皇国軍に降伏、L2コロニー群はその日の内に皇国軍によって制圧される。

そして25日には皇国の指名した指導者の下、L2コロニー群は皇国によってアル・マティから「タロ・マーティ」と改名された宇宙要塞に因んで「タロ・マーティ共同国」を名乗って統一連合からの独立を宣言したのだった‥‥‥。

 

『アーシャ撤退戦(宇宙暦197年9月27日~9月28日)』

独断で要塞を放棄してラクシャス要塞に撤退したセルケイン少将に対して、統一連合軍は、「状況は分かるも、貴官の行為は敵前逃亡に等しい」と彼女を非難して拘束する。この時に、同じくアル・マティ要塞から撤退した第3艦隊司令長官「ジェームズ・ビック」大将も同罪であるとの声が上がる。しかし大将は「撤退は戦略的なものであり、貴重な戦力を無意味に消失させないための措置」と言い張り、軍部からの擁護の声もあってビック大将の罪状は不問とし、セルケイン少将も後に釈放される。

とは言え、アル・マティ要塞が皇国軍の手に落ちた事で、統一連合軍は動きが取りずらくなる。皇国軍に寄ってタロ・マーティと改名された旧アル・マティ要塞の存在は、今迄安全圏だったラクシャス要塞も、皇国軍の攻撃圏内に捉えられたからだ。この事態に急遽第8艦隊のアーシャ派遣が中止になる。

これによって統一連合宇宙艦隊は、アーシャ要塞に「第1、第7、第11艦隊」を、ラクシャス要塞には「第3、第4、第8艦隊」を要するようになり、期せずして宇宙艦隊を真っ二つに分ける事になったのだ。

此処で統一連合軍統合作戦司令本部ではある計画が検討される。それはラクシャスの全艦隊をアーシャに結集させ、その全軍を持ってアフラ奪還を行うというモノである。

失敗すれば、統一連合軍は宇宙艦隊と宇宙での拠点をすべて失う事になり、可なりのリスクを伴う作戦である。しかしこのまま何もしない訳にはいかず、統一連合軍司令本部は作戦の決行を政府に申し出る。既に25日にタロ・マーティ共同国の独立宣言が成された事もあって、L1コロニー群は更なる混乱を見せていた。次は我々だと勝手にコロニー単位で独立宣言を行うなど、L1コロニー群は混乱の極みに居たのだ。この頃には暴動は既に各コロニーに駐留する治安部隊だけでは収拾がつかなくなる処まで発展しており、状況が状況だけに軍を挙げての制圧は逆効果であると、統一連合は半ば傍観を決め込む形になっていた。そんな状況でのアフラの奪還は、独立に逸るL1コロニー群の住人の意識を挫くという役割もあり、早急に行うべき作戦であると、統合作戦司令本部からも期待を寄せられていたのだ。

しかし、此処で統一連合政府は決断を渋った。失敗した時のリスクが余りにも大きいと判断したのだ。だが、この統一連合政府の決断の遅れは、彼らに災厄の結果を生む事になる。27日、皇国軍がL1コロニー群へ向けて艦隊を派遣したのだ。皇国軍はアフラからは第1艦隊を、タロ・マーティ要塞から第6艦隊を覗く4個艦隊を持ってアーシャ攻略に出たのである。

この事態に統一連合軍はラクシャスより第3、第4、第8艦隊を派遣させ、全宇宙艦隊戦力を持って迎撃に当たろうとする。しかし、此処で統一連合政府が横槍を入れる。情勢不安が激しいL1コロニー群を放棄して、全戦力でL3コロニー群を防衛するよう命令して来たのである。統一連合政府としては、反エレメスト(統一連合)色の強いL1コロニー群を守るよりも、親エレメスト(統一連合)の多いL3コロニー群を守る方が得策であると判断したのである。

この政府の決定に軍司令部は猛抗議したものの、その決定が覆る事は無く、統一連合軍は政府の命令を受け入れざる負えなかった。軍司令部はアーシャ要塞並びに同駐留艦隊に撤退の命令を下すと、アーシャ要塞では混乱が生じる。既に要塞近くまで皇国艦隊が迫っており、今撤退する事は、皇国軍に背後を突かれる恐れがあるからで、撤退しようにも如何する事も出来ない状態だったからである。だが、ここでアーシャの統一連合軍が意地を見せる。まず3個艦隊が皇国艦隊を抑えている間に、アーシャ要塞の将兵が要塞からの脱出を図り、その後は第11艦隊が殿を務めて第1第、7艦隊を撤退させたのである。この戦闘で第11艦隊は壊滅、艦隊司令長官の「ジュード・ウルファ」中将は戦死するも、第1、第7艦隊はほぼ無傷で撤退を成功させる。しかしこの一件で、軍部が統一連合政府に対して不信感を募らせる要因となったのだった‥‥‥。

 

【イグドーラ講和会談(宇宙暦197年10月10日)】

9月30日、L1コロニー群は、皇国によって改名された要塞名に因んで「ドゥルジ・コロニー同盟」を名乗り、統一連合から独立を宣言する。アフラに続きL1、L2コロニー群が独立を宣言した事で、エレメスト統一連合はさらに追い詰められる事になる。しかし、此処で皇国軍側にも問題が生じた。旧アーシャ要塞の第1、第7艦隊がラクシャス要塞にほぼ無傷の状態で合流した事で、同要塞の統一連合宇宙軍の戦力が未だに保たれており、おいそれと手出しできない状態だったからである。

此処で皇国は、先日使者として開放した元アフラ副首相のプロポンツとコンタクトを取り、自らの停戦の意思を伝えたのである。プロポンツを通して皇国が停戦を望んでいる事を知った統一連合政府は、それを受け入れ、10月10日に国際中立地である第1軌道エレベーター※「イグドーラ」ステーションでの両政府による講和会談が開かれる。

皇国は統一連合政府に、新生アフラ共和国、ドゥルジ・コロニー同盟、タロ・マーティ共同国の独立を認め、ホール・ワン、ツーを今後は皇国の管理の下で運用し、統一連合宇宙軍の縮小を停戦の条件に提示する。この要求に統一連合側の外交使節団は、軍の連敗による宇宙戦力の消耗もあって要求をのまざる負えないと、今まさに調印しようとしたその時、エレメスト統一連合の中央行政本部である「メタトロス」から全世界に向けての放送が成されたのである。

この放送は統一連合軍によって行われ、統一連合政府関係者の中に皇国と通じている裏切り者がいて、彼らによって軍の行動は皇国軍に筒抜けになっており、そのため戦闘に負けたのだと訴えたのだ。そして憲兵隊によって彼らを逮捕し、断罪するという趣旨のものだった。続けて軍部は統一連合軍は皇国に屈しておらず、反攻の意思を世界中に示したのである。

この放送を受けて、統一連合の外交使節団は困惑するも態度を一変し、停戦条約は戦時条約に変わり継戦が確定したのだった‥‥‥。

 

【天秤作戦「タロ・マーティ&ドゥルジ防衛戦」(宇宙暦197年10月17日~10月18日)】

10月10日、統一連合、皇国間で行われた講和会談は、統一連合軍の介入によって破談に終わり、戦争は継続される事が決まる。そして会談は継戦に際して、戦時国際法を厳守し、核兵器や細菌化学兵器などの大量破壊殺傷兵器の使用禁止などを話し合うにとどまった。

ただこの一連の出来事は、統一連合政府が皇国に降伏しようとし、それを軍が制止したと国民の目には移り、軍部は弱腰の政府を糾弾し、以降の戦争の指揮権を政府から奪う契機にもなったのである。

此れを受けて、統一連合宇宙軍は反攻の為の作戦を開始する。「天秤作戦」と銘打たれたこの作戦は、独立間もないドゥルジ・コロニー同盟とタロ・マーティ共同国を同時に攻めるという所謂二正面作戦であり、これを聞いた第7艦隊司令長官「トーマス・D・モーディラン」中将以下数名の提督や参謀の反対を受ける事になる。しかし、宇宙艦隊司令部は彼らの意見を排して作戦の強行を命じたのであった。この一連の動きには宇宙軍省と地上軍省の長年の対立構造があった。政府から戦争の指揮権を奪った軍部であったが、その発言権を得たのは、目下皇国軍と戦っている宇宙軍省ではなく、地上軍省だったのだ。この事に対して宇宙軍省は反発するも、開戦から連戦連敗続きの宇宙軍は信頼が失墜しており、宇宙軍省としては信頼回復のためにも是が非でも戦果を挙げたいと急遽計画したのである。

こうして同月17日、天秤作戦は強行される。ドゥルジには第1、第4艦隊が、タロ・マーティには第3、第8艦隊がそれぞれ進行し、作戦に強く反対したモーディラン中将の第7艦隊は遊軍としてラクシャス要塞に留め置かれる。ただこの作戦、何も信頼回復のためになりふり構わず計画された訳ではなく、この時の皇国軍の配置も関係していたのである。皇国軍は先の講和会談に際して、両要塞に居た全艦隊を一旦アフラに移動させたのである。これは前に講和を申し込みながら、裏で軍を動かした事で会談自体が行われなかった事を反省した事と、3つの独立国が樹立した事で、これ以上求めるモノはない事からでもある。

とは言え、皇国軍は、講和会談が破談に終わって継戦が確定した後も両要塞に艦隊を派遣する事が無く、依然両要塞は皇国軍が残した要塞防衛部隊と、両独立国家が新設した国防隊の志願兵だけが守る状態だったのである。統一連合軍は、この手薄な居間に仕掛けたと言ってもいいのだ。

だが、結果的にモーディラン中将の予測通り統一連合軍は惨敗を喫する。戦力を二分した事もそうだが、両要塞の防衛部隊の主力である機動装甲兵ア・クーの活躍もあって要塞攻略が進まず、そこにアフラから派遣された皇国艦隊の援軍も合わさり、統一連合艦隊は大きな損害を出して、翌18日には撤退を余儀なくされたのである。

だがしかし、この時の惨敗が統一連合宇宙軍に機動装甲兵(ソルジャー)の重要性を認識させる結果となり、以降統一連合宇宙軍はその開発に注力して行くのだった‥‥‥。

 

【エレメスト降下作戦(宇宙暦197年11月1日~12月1日)】

天秤作戦の失敗により、大きくその戦力を失ってしまった統一連合宇宙軍は、ラクシャス要塞防衛に力を入れる事となる。

此処に来て皇国軍内では、ラクシャス要塞攻略の話が持ち上がるも、依然ラクシャス要塞の戦力は侮れず、同要塞の防御力も合わせて攻略が困難と判断されたのである。さらに先の戦闘には勝利はしたものの、皇国宇宙軍も大きな損害を被っており、おいそれとラクシャス要塞を攻める訳にはいかなくなっていたのだ。

そこで皇国軍参謀本部は新たな作戦へと打って出る。それが「エレメスト降下作戦」である。各基地で兵器の量産を進めて宇宙艦隊と部隊の補充を行うと共に、先の戦闘には参加せずに温存されていた皇国地上軍を使って地上攻略する作戦に出たのである。

エレメスト降下作戦の目的は、エレメストとラクシャス要塞の繋がりを絶つのが最大の目的であった。エレメストにはふたつの軌道エレベーターがあり、それぞれに地上と宇宙を繋ぐ重要な役割を担っていた。このふたつの軌道エレベーターの存在がラクシャス要塞とエレメストを繋げており、そこを絶つ事によってラクシャス要塞を干上がらせる作戦、所謂兵糧攻めにするのが皇国軍の目的であった‥‥‥。

 

『第1次エレメスト降下作戦(宇宙暦197年11月1日)』

11月1日、本国から来た地上軍を乗せ、ドゥルジ、タロ・マーティ両要塞から輸送船団と、それを護衛する皇国宇宙軍艦隊が第1軌道エレベーター「イグドーラ」へと向かう。

軌道エレベーター国際法で守られており、軌道エレベーターとその周辺宙域(地域)は非武装中立地帯となっていて、おいそれと艦隊が通過する事すら許されない地域であり、無論戦闘を仕掛けるなどもってのほかである。しかし皇国軍内では、国際法を無視して直接軌道エレベーターを攻略しようとする意見も少なからずあったものの、ネクロベルガー総帥の「国際法を遵守せよ」という命により、直接攻略ではなく間接攻略に切り替わったのである。

まず、皇国軍は軌道エレベーターの非武装宙域の外縁部に護衛艦隊を展開し、輸送船団から部隊や物資を搭載した大気圏突入用ポッドを次々と地上に投下する。

この皇国軍の動きに統一連合宇宙軍は全く対応出来ずに静観するしかなく、皇国軍は何の抵抗も受けぬまま作戦の第1段階を成功させる。

皇国軍降下部隊は、地上に降り立つとすぐさま周辺の都市や軍施設へと攻撃を開始しする。この時に活躍したのも新兵器のア・クーであった。宇宙からの空挺作戦で地上に降り立ったア・クーは、人型という兵器としての異様さと、その巨体とで統一連合地上軍将兵から畏怖の対象となって行く。そしてア・クーの活躍により、降下作戦開始から僅か1ヶ月弱で、イグドーラ・シティ周辺地域の非戦闘地帯を囲む一帯は皇国地上軍に制圧されたのだった‥‥‥。

 

『第2次エレメスト降下作戦(宇宙暦197年12月1日)』

第1次エレメスト降下作戦に続き、12月1日には第2次降下作戦が決行される。

この頃には、第1次降下作戦の際の「ア・クーC」の戦闘データを基に地上に適応した改良型の「ア・クーC2」も生産が開始されており、地上侵攻作戦はさらにスムーズに進んで行き、以降皇国軍は地上での占領地を広げていくのだった‥‥‥。

 

 

 

 

 

※・「軌道エレベーター」惑星地表面から静止軌道以上まで伸びるエレベーター。宇宙エレベーターとも言われる。

エレメストには第1軌道エレベータ「イグドーラ」と、第2軌道エレベータ「アストーラ」のふたつがあり、軌道エレベータを中心に一定の範囲内は非武装、非戦闘地帯と国際法で定められている。

地表面には都市(シティ)、静止軌道側には宇宙港となるステーションがある。