怠惰に創作

細々と小説の様なものを創作しています。設定など思い付いたように変更しますので、ご容赦ください。

初代皇帝と第4惑星ゲーディア皇国 FILE1

宇宙暦156年1月16日、ゲーディア皇国は正式に独立国家としての一歩を踏むこととなる。

元々第4惑星は、エレメスト統一連合から見れば遠く離れた他惑星の為、連合の支配下にさえ入ってさえいれば、ほぼ統治に関しては行政長官の裁量に任せられていたので、わざわざ独立しなくてもという見方もあるのだが、ウルギア帝にとっては全てを手に入れるために必要な事だったのかもしれない。この事でウルギア帝に野心ありと評する者もいるようだ。

ではそんな状態の惑星ゲーディアで何故、ウルギア・ソロモスは独立を望んだのだろうか?

当時の第4惑星ゲーディアは、統一連合から送られてくる行政長官によって統治されていた。彼と内閣を構成する議員は、再三言っている通り、統一連合政争に敗れ左遷された者たちが主である。そんな彼らの表面上は兎も角、内心での目的はもう一度中央に返り咲くと言うものである。そして、この第4惑星にはそれを叶えられる物があったのである。それはエネルギー鉱石「レメゲウム」である。発見当初は第4惑星の地層に含まれている何の変哲もない物質だと思われていたが、研究を重ねた結果、高純度のレメゲウムを特殊な方法で圧縮する事で結晶化し、その状態になると高エネルギー物質に変化する……らしい。

この発見以来、第4惑星はまるでゴールドラッシュさながらで、当時は都市開発も行っていた事から大いに賑わせ発展していったのだ。

ここからもわかる様に、行政長官や他の議員はレメゲウムの利権で財を成し、統一連合政府の有力議員に賄賂を贈って中央に返り咲くのが彼らの関心事項であった。その為、ゲーディアの統治に無関心な者も多く、治安の悪化や行政サービスの低下を招く事となった。

それとは逆に、ゲーディアの一部の有力者たちは彼らに協力する事で地位や権利を保証され、一般市民との貧富の差が大きくなって行くのである。

そんな最中、ウルギア・ソロモスは行政長官となり、彼らとは違う道を歩んだのた。

まず彼が手掛けたのは、賄賂を贈ろうとする有力者を贈収賄罪で逮捕した事である。このニュースがゲーディア中に広がると、市民たちから熱烈な支持を得たのだが、ただの人気取りだと評されることもあった。しかし、その後も比較的国民に寄り添った政治を行って行ったため、徐々に彼の人気は不動のものとなって言ったのである。

そのため皇国を名乗り皇帝に即位した後も、国民はウルギア帝に対して悪い感情を抱く者は少なかった。いやむしろ歓迎されていた。

私が街の人にインタビューしても彼を悪く言うような人は殆どいなかった。勿論、例外はあるが、それはオイオイ話すとしよう。

では、此処からは皇国の政治体制を説明する。統一連合統治時代は様々な意見はあろうが、建前上は民主主義である。それは第4惑星も同じではあるが、皇国となる事で、皇帝親政の専制政治色の強いものに代わり、それを支える貴族、そして一般市民の大きく3つの階層分けられる。

基本の政治体制は専制国家のそれであり、皇帝の言葉は全ての憲法や法より優先される事に成る。が、ウルギア帝はそれだけでは過去の専制国家の二の舞になるだけと考え、それとは別の仕組みも作っていた。それが二院制の導入である。統一連合と同じく上院と下院に分かれた制度を皇帝の下に付け、彼らに通常の政治を任せ、迅速かつ強力な決断が求められた時だけ、皇帝がその権威を発動すると言う仕組みにしたのである。

此処からはゲーディア皇国の行政の大まかな仕組みを説明する。

【皇帝】・ウルギア・ソロモス。ゲーディア皇国の国家元首

【皇族】・ウルギア帝のロイヤルファミリー。

テリーサ・皇帝の正妻、皇后。宇宙暦107年生まれ。

アルデル・皇帝の長男で第1皇位継承者。宇宙暦135年生まれ。

サロス・皇帝の次男で第2皇位継承者。宇宙暦138年生まれ。

パウリナ・皇帝の長女で第3皇位継承者。宇宙暦140年生まれ。

【貴族】・皇帝を支えるために任命され、特権を与えられた統治者階級。

爵位に伴い➀「領主(上級)貴族」②「子弟(中級)貴族」③「宮廷(下級)貴族」と分かれていて、皇国独特の貴族制度になっている。

➀「領主貴族」は、皇国にある72都市をそれぞれ統治しており、都市名+爵位・名前の順に呼称される。

☆「大公」・ウルギア帝の家族以外の親族に与えられて爵位。王位継承権を持ち、4人いるので四大公(或いは単に四公とも)と称される。

四大公は皇都「ミシャンドラ・シティ」が完成してからの通称で、その前は皇弟エルバルドを除いて三大公(単に三公とも)と呼ばれていた。

以下4人の大公家を紹介する。

「バルア公・エルバルト・ソロモス」・ウルギア帝の弟で皇位継承権は第4位。新首都ミシャンドラ・シティが完成してロイヤルファミリーがそちらに移ると、バルア大公となって第1都市バルアの統治を任される。宇宙暦105年生まれ。

「アガレス公・ザボエル・ソロモス」・第2都市アガレスを統治する大公。ウルギア帝の父方の従兄弟で、皇位継承権は第5位。宇宙暦110年生まれ。

「ヴァザーゴ公・ザクゥス・コーダ・クロイル」・第3都市ヴァザーゴを統治する大公。ウルギア帝の母方の従兄弟で、皇位継承権は第6位。 宇宙暦108年生まれ。

「ガミジン公・サミジナン・ソロモス」・第4都市ガミジンを統治する大公。ウルギア帝の叔父で皇位継承権は第7位。宇宙暦89年生まれ。

余談ではあるが、アガレス公とヴァザーゴ公は大変仲が悪い。切っ掛けは何方が第2都市の統治者に成るかで口論になったらしい。都市の番号が皇位継承権の順位にも直結しているのが理由で、自ら第4都市の統治を願い出たガミジン公の執り成しで、三闘を行い一様の解決を見せたものの、その後も顔を合わせれば嫌味を言い合い、口論が絶えない仲で、家同士のいがみ合いにまで発展している様である。

因みに三闘とは、銃闘(銃を使った決闘。西部劇?)拳闘(拳を使った決闘。ボクシング?)剣闘(剣を使った決闘。フェンシング?)の3つの決闘で、ガミジン公の趣味が入ったものらしい。

これ以降、貴族の間で起こった揉め事の解決によく用いられる様になるが、徐々にエスカレートして死者が出る様になり、現(4代)皇帝によって禁止されている。が、破っても罰則が無い為、今もヒッソリと行われているという噂がある。

☆「侯爵」・ウルギア帝の行政長官時代からの有力支持者が任命された爵位。16人いるため十六候とも呼ばれている。

16人は多いので、代表で一人を紹介する。

「マルバス候・ケントゥリオ・クラーウィン」第5都市を統治する侯爵。宇宙暦97年生まれ。他15名

☆「伯爵」・ウルギア帝が大公、侯爵以外の残り52都市の統治者に与えた爵位

52人も紹介できないので、代表として一人だけ紹介する。

アスタート伯・ヴィルヘルム・ハインツ・ホルストベルグ」第29都市を統治する伯爵。宇宙暦116年生まれ。他51名

②「子弟貴族」は、当主である領主貴族以外の親族の呼称。

☆「子爵」・子弟貴族に与えられる爵位で、領主貴族の後継者(嫡子)は領主と同じ爵位が与えられて内外に後継者であることの証明にもなっていて、其れと区別させるための爵位でもある。

③「宮廷貴族」は、皇帝から能力を認められた政治家(民主院議員)が、貴族となった時の呼称。

☆「男爵」・民主院議員の中で特に業績をなしたものに与えられる爵位。男爵になると宮廷貴族として上院議員扱いになる。

男爵は個人に与えられる爵位で、自身の子供などに世襲される事は無い。

※貴族は全員が無条件で貴族院(上院)議員として国家政策に携わっている。

☆「騎士」・すべての貴族が成人(15歳)になると爵位と共に与えられる称号。大きな活躍をした平民にも与えられることがあり、一種のステータスにもなっている。

騎士は本人のみの称号で世襲は出来ないが、貴族として生まれた者は成人時に爵位と共に与えられる。

※皇族を警護する近衛軍士官は騎士の称号が無いと就く事が出来ない。

【市民】・平民とも呼ばれる皇国の国民。

☆「民衆院議員」・皇国は専制政治ではあるが国会があり、議院内閣制の様に上院と下院に分かれている。上院が別名「貴族院」で貴族がそのまま議員となっている。下院が「民衆院」と呼ばれていて、民衆院議員は国民選挙によって決められている。

皇国では下院である民衆院が「皇国議会」を開いて予算や立法の決議を執り行い、そこで決まった法案を上院(貴族院)が精査して皇帝に上申して施行されると言う方法を取っている。

定員は864名、任期は4年。2年毎に定員の半数が選挙で決められている。

☆「都市議員」・領主貴族と共に都市の行政を行う議員。性質的には民衆議員と似ていて、4年に一度選挙で決められる。定員は各都市でまちまち。

☆「国家公務員」・皇帝(国家)に使える公務員。

☆「都市公務員」・領主貴族に使える公務員。地方公務員とも呼ばれる。

政治家や公務員は皇帝や貴族に使える、或いは彼らに変わって行政を司る立場なので、市民からは最も尊敬される職業のひとつでもある。

次は皇国のもう一つの大きな力、軍についての解説を入れようと思う。